「ウフフ。ふふふふ…。うぼぉーぎん…。フフ」
「……ふん。またそれか」
へらへらとふざけるみてぇにして逃げてったシャルと、それを追いかけて行っちまったシズク。
オレはその後をさらに追いかける形で、ケイを連れて廃棄タイヤが道の脇に山と積まれた窪地の間を歩いていた。
ま、『連れて』っつっても手ェつないで仲良く一緒に歩いてるわけでもなく、いつもと同じように左腕に抱き上げての恰好だが。
歩くたびにオレの足の下でメキメキバキバキとガラス片が音を立てるような場所を、さすがに裸足のままで歩かせるワケにもいかねぇしな。
気まぐれに、ちょっとした親切心ってやつを発揮してみたわけだ。
腕に乗っけたケイの奴は、最初こそシャルナークシャルナークドコーってはしゃいでたが、オレが歩くのに合わせてゆらゆらしてるうちにシャルの事は頭から転げ落ちたらしい。
というより目の前にいないシャルの事よかテメーの事を軽く抱き上げるオレの方が気になったみてーで、冷たい手でペタペタとオレの胸板や肩を触ってはニコニコニコニコと妙に嬉しそーにオレの横顔を眺めてきた。めちゃくちゃ視線を感じるぜ。
一体何がそんなに嬉しいんだかなぁ、なんて……ま、今さら白々しいフリすんのもなんだな。
改めて訊くまでもなく、オレの近くに居られるのが嬉しいからだろ。可愛い奴だ。
「…な?ケイ」
「ぅう?」
シャルの奴にフワフワにされた薄ピンク色のウェーブ頭をぐしぐしと撫でてやる。
もちろんケイは何の事かわからずに、キョトンといつもの馬鹿ヅラを見せやがるw
「オラ、んな顔すんなw お前は可愛いなって話だ、ケイ。嬉しいだろ?」
「う?かわいい?可愛いは…ウフフ。ワタクシうれしい…。あなた言う、可愛い…。シテクレルはイチバン…。ワタクシ嬉シイは、デモー、うぼぉーぎん、も……ワタクシ一番!デスネー。 ウボォーギン、だって、アナタ…スゴイのカラ!」
「…あ?」
…なんだその返し。
オレが凄いからって?突然なんだよ。全然話が見えねぇぞ?何がそんな凄ぇってんだ。
別にそう言われて悪い気はしねぇから良いけどよう。
どういう意味か尋ねてみたい気もするが、訊いたら訊いたでまたぺちゃぺちゃ訳のわかんねー事を喋り出しそうなのがなぁ。
―――なんてオレが思ってるのにも気づかずに、ケイの奴は結局ぺちゃぺちゃと勝手に喋り出すわけだが。
ったく、このマイペース野郎めw
「ウフフ。スゴイ。うぼーぎん、はワタクシ持つをスル…。腕、持つ上ゲルは…逞シイの、スゴイ!男らしい、良いデス。格好良いダカラ!ふふふっ」
「………ふふん。…そうか?」
「そう!ソウ、うぼぉーぎんスゴイ!ワタクシ、を…こうして抱き上げる、デキルちから、は…、うぼーぎんが強いシテルから?アナタ、たくましい…は、男らしい、のは…ワタクシ、タクサン素敵を思ウデス。ウフ。
スレイ、スレイも…強いシテタ、ケド…。スレイはヤムおえず…でナイト…。ワタクシ酔うシタ…起きラナイ…、トカ…ナイトー、してくれないシタ…。ボス、見るデス。グラスが見テル、から…。
ワタクシ、も、…恥ずかしい…。おんなのこみたい、こんな、ダケド…ワタクシデモ、おとこ、なのデ…。甘えるシナイ、は…小さなワタクシのぷらいど、あったデス…。デモ、デモー、本当は、心の底…は…もっと、アナタと…一緒…。居たかった、ケド…。
デモー、デモー、ウボォーギンは、してクレルカラ。ダレ…の、見テいても、ワタクシ、たくましいの腕は、抱く上ゲルシテクレル…。強い瞳、ワタクシの持つナイモノ持つ、アナタ…。素敵デス。格好イイの…。ワタクシできない…。ワタクシも、男らしい…なりたいシテ思う…でも、ワタクシには出来ナイ、カッタ…カラ。…フフフ。
だからアナタ、ウボォーギン…、スゴイかっこう良いの。おとこマエ、好き。たくましいは…、格好いい…。ウフフフ…」
「ハハッ!お前はオレを持ち上げんのが上手いな、ケイ」
男前とか、素敵とか、格好良いとか、殺し文句ばっか並べ立てんじゃねぇよ。照れるじゃねーか。
そんな事恥ずかしげもなくオレに言ってくれんのはお前だけだぞ?
じゃなけりゃ、単純にオレのこのデカい身体を「スゲー!」「でけー!」「かっけー!」っつって群がってくるような、まだ恐れ知らずのちっこいガキどもだけだ。…今のケイなら似たようなモンだと思わなくもねーが。
大抵の奴はオレを遠巻きに見上げてコソコソするだけだし、ひでー時にはまるでオッソロしい魔獣かバケモンでも見るような目で見られて悲鳴あげられたりすることもあるからな。
蜘蛛の連中ならシャルとかノブナガとかコルトピもよくオレの事をホメてくれるが、あいつらはどっちかってーと囃し立ててるっつー方が合ってるカンジだし。
そんな嬉しそうな顔でうっとりオレに熱視線なんてモンを送ってくんのは本当にお前だけだ、ケイ。
またスレイって奴と比べられてるトコだけちょっと癪だが、まあオレの方が凄ぇってんなら許してやんなくもねぇ。
「……っておいコラ、ケイ。なんで固まるんだよw」
ずいぶん急に静かになったな、と思ってケイを見たらなんでかケイはオレの顔を見たまま口をぽかんと開けて固まってやがった。
なんでだよw
「うぅ…。ナンデ…?アナタ言う、を……ワタクシ持つ上げるスル、…うぼーぎんを?ワタクシ、デキルスル、言う…?無理…思うデスネ…。うぼぉーぎんを持つの…、上ガル、は…、ワタクシはむづかシイの…」
「物理的にオレを持ち上げるんじゃねーよwんなもん無理に決まってるだろうがw」
オレが『持ち上げる』って言ったから、オレを実際に持ち上げる想像でもして固まってたのか?
……あぁ、いや、想像しようとして脳みその許容量をオーバーして固まったって方が合ってるか。
「持ち上げんの上手いな」ってそういう意味じゃねぇだろw馬鹿か。
アホ面で首をかしげてるケイがあんまりにも無防備で隙だらけなもんだから、つい、またイジメてやりたい気持ちが出て来ちまって。
ちょうど手近なところにあったケイの裸足の足の裏を、こちょこちょとくすぐってやる。
「ふびゃ!?」とかおかしな悲鳴と同時にビクッと跳ねたケイの足は、そのままオレの手から逃げるようにひっこんでくが、…んなもんもちろん逃がす訳がねぇな。
すかさずガッシと足首を掴まえてトドメとばかりにさらにこちょこちょ足の裏をくすぐってやった。
…しっかし冷てぇ身体だな。相変わらず。
「ひゅふーっ!!?なにデス、くするスルノやめて!ウウ、くすぐったい、ふふ。ナンデ、ヤメテ、うぼぉーぎん!うぅ、フフフッ!」
「なんで?じゃねーよ。お前がオレの話全然聞いてねぇからだろ」
「ふぐ、アッ、ふふふふ。くすっススたい!うう、ひゅフフフフ」
うふうふ笑いながら逃がれようとじたばた足を動かすケイを無視して、冷てぇ足先を両足分、片手でひとまとめに撫でてあっためてやる。
ケイの足は男のモンにしちゃずいぶんと華奢で(ま、オレのごつい手と比べる方がなんなんだが。)爪先まで妙に手入れの行き届いた形のきれいな足だった。
……が、こうして触ってみりゃあんまりにも冷えてていっそ可哀想なぐれぇだ。
靴下か靴か、探してきてやるべきじゃねぇか?
シズクが持ってきたブラシやソファや、シャルのマグカップよりもよっぽど今のケイには必要なモンに思えるけどな?
相変わらずクスクスと笑い声が止まらねー中で、片手でぐりぐりケイの足指を撫でまわしてやりながらそんなことを考える。
この足に靴……か。
「(………暇つぶし…と考えりゃそこまで悪ぃアイデアでもねぇか…?)」
ふと思いついただけだが、冷静になって考えてみりゃ割と…っつーかむしろかなり良いアイデアなんじゃねーだろうか。
…自画自賛かもしれねーが、ただトレーニングやって1日過ごすより、無意味にシャルを追っかけたりしているよりもよっぽど有意義な暇つぶしになるような気がするぜ。
「(ケイだってその方が喜ぶだろうしな…)」
シャルがやった、あんな欠けたマグカップでもケイの奴はあんなに喜んだし、シズクが拾ってきたソファや椅子やベッドなんかも、"自分のものだ"ってことさえ理解(わか)りゃ、ケイならたぶんテンションマックスにして喜ぶだろ。
だったらオレだってコイツに何かしてやりてぇ。
ケイはオレがそばに居りゃ他のモンはなんにも要らねぇみてーなことも喋ってたけどよ…。
それで黙っちまうようじゃ男がすたるっつーか、盗賊の名折れってなもんだろ。
ここがどっかの商店街ってんなら靴屋の一つや二つ襲ってケイの足に似合いそうな靴を片っ端から持ってきてやるとこだが、…ここは流星街だしな。
「……ま、地道に宝探しと行くか。時間もあることだしな。…な、ケイ」
「うふ、フフ、…なあに?うぼぉーぎん、ナニ探す言う?スルデス?」
「おう。宝探しだ。わかるか?宝探し」
「タカラサガシー?タカラ、はナニデス?なに探す?ぴんくい…きらきらシテル?お金ナル、なにかデス?」
「金なんかじゃねぇ。まぁ物によっちゃ金にもなるけどな。それよかお前がここで暮らすのに必要なモンとか、靴とか、お前の欲しいモンなんでもだ。探してやるぜ?
とりあえず欲しいモン言ってみろよケイ。何が欲しい?」
手に入れられねぇモンなんてここには何もねーぜ?とケイの鼻先を指でこすってやる。
くすぐってーのか肩をすくめてクスクス笑ったケイは、そのままオレの胸に抱きついて懐いてきた。
ふんわり嬉しそうに目を細めて、オレを見上げてくる。
…こういう顔するとホント、すげえ可愛く見えるよな。こいつ。
「ウフフ。うぼーぎん…。ナァニ…?ワタクシ欲しいもの?欲しいもの…。欲しいの、は…、うぅ…。デモ、デモー、ワタクシ、おかねナイデスヨ?
欲しいのスル、ものは…、カウは、お金いるの。タクサン…。でも、ワタクシ、はおかね…持ってナイデス…。うぼぉーぎん、に預くるお金…。ナイスルと…買うの、欲しいのモノ、カウも…できないデスネ…。カラ…、何も、ワタクシいらないデス…。
うぼぉーぎんが居ル、すれば…、アナタ居てクレルなら、ワタクシ、ナニもいいの…」
「ふふんwまあそう可愛い事言うんじゃねーよ。金ならオレだって持ってねぇけど…、でもオレぁ金が無かろうが欲しいと思ったモンを諦めた事なんて今まで一度だってねぇぞ?お前はねーのか?そういうモン」
「ウフ。諦めるはナイ…?そう…?ウボォーギン、はスゴイデスネ。ワタクシ、は…、諦める…シタ、イツモ…。欲しいものある、シテモ…お金ナイデス。お給料、貰うシタイタ、のは、ワタクシすこし…ダカラ…」
「だから金が無くても…、っつーかさっきからお前、賞金首の癖に給料がとか金がねぇと欲しいモン買えねぇだとか、クリーンに生きすぎだろ。そんなんで今までどうやって生活してたんだよ?」
そうやってオレが聞くと――――ケイはそれまでの嬉しそうな笑顔を困った顔に変えちまった。しゅんと俯いて、考え込んじまう。
…あー、やったな。変な事訊いちまったぜ。
「うぅ…。くりーん…?そう…?デモ、ボス、ボスは、教えるの…ワタクシにクレタデスネ…。むよー、なのイサカイ、は…避けるスル、べき…お金でカエル、スルナラ、それ、方が良い…トー。ワタクシ、は、弱いデスカラ。
中心居る、罠ノ中…ならアナタ…。スレイは、守ル…、グラスも…、エーカーが、見てクレルスル、けど…。ワタクシ、アカシア…。そと出レばヒトリ…。釣る準備、アルならイイ…デモー、イツモ、それ、は違うデスから。むよーに、目…つけられるは良いナイ、ワタクシ…は、髪…目立つカラ…。ワタクシが居ルは、大事なの…。すごくダイジ、だから…、ボス言いマシタネ。
ダカラ、貰うシタおきゅうりょすこしの。ボス、と…一緒、に…さぷりめんと、とー、水と、お化粧品…買うますた。ホカも、ワタクシ欲しいスルものはいっぱい…、タクサンあったデス。
でもー、ワタクシ、欲しいの思うしても、カウは、たくさん…出来なかったデスネ。お金は、無イなるデス。イツモ、お金ナイしてた…。
欲しいある、思うシテモ…、おかねナイノデー、あきらめるスル…。折れた、ワタクシ…。失うタクナイから…今度、は…。思う、カラ…ガマンする…。したデス」
「話が長ェっつーの;言いてぇ事も結局よくわかんねぇしよー」
「うう…」
「…まぁ、お前なりに一生懸命話してはいるわけだよな。
…いつも金が無ぇ、か…。オレは、欲しけりゃ何でも、持ってる奴探し出して奪やぁ良いとしか思わねーし。金はもともと持たねェ主義だ。金のことなんかで何かを我慢したり諦めたりなんて事なおさらした覚えがねー。
お前がなにかと諦め早ぇえのも、そのあたりから来てんのか?ん?」
前の事でも思い出してんのか、悲しげにしょげた目でケイは縋るようにオレを見てくる。
……そんな、オレじゃねぇ誰かに泣かされたようなツラでオレを見るんじゃねーよ。
お前のそういう顔は、オレぁあんまり好きじゃねぇ。
「……ふん。いいぜ。そういうことなら今度からはオレが教えてやるよ、ケイ。金なんか無くても世の中っつーのは案外楽しく生きられるモンなんだってのをな。だから金の心配ごときでもうそんな顔すんじゃねぇ」
フワフワにウェーブがかったケイの薄ピンク色の頭をまたわしわしと撫でて、胸に押し付けるように抱き寄せてやる。
それから、ケイのほっぺたをフニフニとくすぐるように指で掻いてご機嫌を取ってやると――――テンション下げて俯いてたケイの顔にも、すこーしずつだが花が咲いていく。また嬉しそうにくすくす笑ってオレを見上げてきた。
…ふふんwそうだな。
そうやって笑ってる顔の方がお前にはずっと似合いだぜ。
「フフフ…。おしエル…?うぼぉーぎん、…ワタクシに?教える?ワタクシに、アナタ…。教えるして、シテクレルデス?嬉しい…ワタクシ…。おしえて、オシエテ…。ワタクシ、わたくし…。…バカ…、だから…。いつも騙されて、お金ナイのシテタ、デス…。
おきゅうりょ、少し貰う…モ、グラス…に、たぶん誤魔化サレテ…。おつり…貰いナイトキもあったデス。でも、ワタクシ計算、も、字もー、タクサン…、あまり読マないスル、できない…から。何も言えない…。
スレイ、トカー、ボスそば居るすれば、それ、ハ…教えてクレタ、ケド…。今は、ウボォーギンが教える、シテクレルデス?ワタクシに、おかねナイしても楽しい…、本当なの、オシエテくれるデス?」
「おう、まかしとけよ。なんならついでに字も教えてやるか?」
「ほんとう?ウフ。字、教えるクレルは、ホントウ…?嬉シイ。教えるシテ…。
ワタクシ…、わたくし、学校行くナイシタカラ…。ズット娼館、いたデス。だから、ダカラ…、ワタクシばかなの…。本当は、馬鹿…ですた。
デモー、おかね、お金がある、スルれば…、なんでも。ワタクシ、ばかでも…わたくし欲しいスル、ものは、キット手に入イル、いっぱいデキルと思うのシテタ。
学校…は、行かないシテモ、お金アルすれバ…、ほん、買エルデス。食べる、モ…おいしいデキル、たくさん…。出来るスル、思うの…ずっとシテタ。デモー、デモー、お金は、ナイでも…それ、は、デキルデス?わたくし馬鹿、デモ…それはできる?うぼーぎんは、知ッテイルの?デキルスルかた、知ってイルデス?」
「ああ、できるぜ。学校にってんならオレだって行ってねーんだからよ。でもオレはさすがに字ィくらいは読めるし、計算…は普段はしねぇにしても、多少の足し引き勘定ぐらいオレだってできるぜ?
…ま、そもそも欲しいモンがありゃ「いくつ」じゃなくて「全部」盗ってきたし、いちいち勘定を気にしたことはねーけどな」
オレに馬鹿だって言われて、コイツが毎回あんなムキになってたのは、自分の馬鹿さ加減をちゃんと自覚してたから…、とかか?
『馬鹿』ってのはテメーでわかってても、他人(ヒト)に言われるとムカつくんだよな。そこはちょっとわかるぜ。
つっても今のお前なら、元からバカだろーが壊れてアホになったんだろーが、どっちでも大して変わらねーような気ィもするが。
「心配すんな」って意味で、オレは口元で手を合わせて『お願い』のポーズをしてたケイの頭をポンポンしてやった。
「良いか、ケイ。オレは今まで欲しいと思ったモンはなんだって手に入れてきたし、これからもずっとそうだ。お前がオレの背中にちょこっとくっついたところで、オレのそういう生き方は何一つ揺るがねぇ。
だからお前は安心してオレの背中で見てるといいぜ。これからはオレが、オレの欲しいモンに加えてお前の欲しいモンも全部、一緒に手に入れて来てやる。
諦めも遠慮もいらねぇぞ。金の事なんて考えなくていい。お前の欲しいモンは何でも、オレが全部手に入れてやるからよ。な?」
ケイの目をじっと見据えて自信満々にそう言ってやったら、頭叩いたせいかポケーッとオレを見上げてたケイの顔が、その瞬間にパカーッと一気に花開いたみてーに明るくなった。
それからケイはうっとりとオレに惚れきったようなツラで、嬉しそうに頬を染めてもじもじクネクネし始めやがるw ダハハハ!なんだそりゃ!?ww
「ふふふ。ほんとう…?うぼぉーぎん、は…ほんとう、に…スゴイの。諦め、と知らナイ…。信じるをスル、自分を…。思うする、デキル…、強いヒトミ…。ワタクシ知るナイ事も、知ッテイルの…、できるスルと信じてイル…は、スゴイ。ワタクシ、にもデキル…?アナタ、と一緒の…、信じる…デキルを、そうなりたい…。おしえて、オシエテ…。
ウボォーギンは、凄いデスネ。なんデモ、できるスルの…。強い、アナタの目、すてき…。頭いい、は…モットかっこう良い…」
「ハーッハー!そう褒めんじゃねーよ!大体、オレぐらいの頭で格好良いなら団長とかシャルとかはなんになるってんだw神か!ガハハハハ!!」
「ウフ。ダンチョーかみ?しゃる…シャルナーク、紙デス?あたま…は、ナラ、髪?…ウフフ。かみ楽しいデス?ナニ楽しいのわ…、ワカラナイデモー。ウボォーギン、が、楽シイ…シテルナラ、ワタクシも楽しいデス。フフフフ」
「そうかよw良かったな」
「うぅ…。ウフフフ」
ニコニコ笑いながら、オレの首に一生懸命両手を回してくっついてこようとするケイの頭を、グイグイと鼻っ柱を押しつけて押し返してやる。
そんな頬っぺた相撲ももちろん余裕でオレの勝ちだが、何度押し戻されてもケイの奴は楽しそうに何度でもチャレンジしてきた。
何がそんなに楽しいんだwと思いながら、ケイが楽しそうならいいかとオレも一緒になって笑った。
オレが楽しそうならテメーも楽しい…、なんてのはそりゃこっちのセリフだぜ?ケイ…。
いつだって本気で楽しそうで、本気で幸せそうに笑うから、なんかお前の表情(カオ)見てるとこっちにまで楽しいのがうつってきちまう。
「ホント…お前は可愛い奴だぜ、ケイ」
聞かれたらそれはそれでうるせーから、なるべく聞こえねーようにそう呟いて、オレは傍で揺れてたケイのそのフワフワのピンク頭を抱き寄せて撫でてやった。
後編へつづく
NEXT→番外編「7日目・日中」:宝探し(後編)/
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ほくほく
すもも