※ご注意※
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18禁裏コンテンツとなっております。クロロ×主人公のエロです。
男同士の性描写を含んでおりますので苦手な方はメニューへお戻りくださいませ。
終盤、少々リバシ匂わせる発言等もあります(行為はありません)ので地雷の方は自己判断で。
では大丈夫な方のみどうぞ。
もたもたと重い足取りのレヤードの腕をやや強引に引きながら、クロロは廃屋内の最初に自身が仮眠用に選んだ部屋へとやって来た。
仕事の際にブリーフィングに使用した小部屋とは別の、建物が放棄される前の住人のものであろう家具―――目立つのは部屋の奥にある古い型のダブルベッド―――などが残る比較的広い部屋。
背後では、時折未だにグズグズずるずるとレヤードが鼻をすする音が聞こえている。
顔を見やれば、俯き、目を伏せて、見た事もないような悲しげな表情でその翠緑の瞳に涙をあふれさせていた。
おそらくは薬の影響もあるだろう。先日に飲ませた直後もそうだった。
薬が感情のコントロールを乱すのか、おそらく今のレヤードの頭の中は"怒られる・叱られる"という負の感情でいっぱいなのだろうが、その感情そのものが増幅されてスパイラルに陥ってしまっているのだろう。麻薬ではよくある作用だ。
涙に濡れて揺れる澄んだ翠緑の瞳。
滅多に見ることのないような表情にジクジクと加虐心がそそられなくもないが、"あの"レヤードにそんな顔をされている方が調子が狂う。……と、クロロは立ち止まり、身体ごとレヤードに向き直った。
「レヤード。」
呼び掛けるとレヤードはびくりと肩を跳ね上げて、その大きな図体を丸め、恐る恐るといった風情で上目遣いにクロロを見てくる。
そのレヤードの頬にスッと手を伸ばせば、「ひ、」と小さく零して顔を逸らしてしまった。
……打たれるとでも思ったのか。可愛いところもあるな、とクロロはフッと笑みを零す。
「らしくないな、レヤード。どうした?頬を張られるとでも思ったか?」
雨の中、道端にうずくまって小さく震える子犬に手を差し伸べるように、そっと優しく頬に触れ、そう問う。
熱でもあるのか、触れた頬は涙で濡れていたものの熱くなっていた。
「……だ、だって団長…。怒っ…てない……?」
「ん?まあ今はな。お前にあんな泣かれ方をされたら誰だって冷めると思うぞ?」
そう言ってクロロはレヤードの目元の雫を指でさらう。
「…逆に聞くが、お前はオレがさっき何に対して怒っていたのか、きちんと理解できているのか?」
「え…?え……、その………オレが、お前の……団長の言う事…ちゃんと聞けないで……仕事も全然……できなかった…から……?」
「ふむ。相変わらずお前がオレの話をよく聞いていないというのはわかった。……違うぞ?」
「えっ…?」
困惑したような顔で、その美しい翠緑をふるふると揺らめかせてクロロを見るレヤード。
その肩をポンポンと落ち着かせるように優しく叩いて、クロロは「まあ座れ」とレヤードをベッドまで連れて行き、座らせた。
そして先日と同じようにクロロはレヤードのそのガニ股に開いた脚の間にスッと立ち。
びくりと視線を上げたレヤードの熱っぽい両頬を、犬の顔を撫でるかのように両手であちこち撫でまわす。
「…や、ちょ…な、なにすんっ、…もぉ〜〜!?止めてよォ…、団長ぉ〜〜…」
顔中もみくちゃにされ、嫌がったレヤードが涙目になりながらそう零す。
そのレヤードの顔を今度はグイッと抱えるように持ち上げて、クロロはレヤードと額を突き合わせる形で向き合う。
「うえ…。な、なにぃ…?だんちょ…。さっきからさぁ…、なんなのぉ〜……?」
「『何をする』、か……。まあオレも自分で驚いたんだがな」
「…ぇえ…?な、何が…?驚いたって…。何にさ……?」
「ん?オレの中にもこんな感情があったなんてことにな。…いや、違うか。オレが最初に始めたことを途中で横から成果だけさらわれるのが嫌だっただけかもしれないが。
お前のあの声を耳にした時、あんなに神経が昂るとはオレも思わなかったんだ」
「はぇ…?オレの声…?」
「ああ。お前が、オレ以外の人間の名を零しながら立てた艶声だ。嫌がったようなお前の喘ぎ声。……まあ会話を聞いた限り、フィンクスの方はその気でなかったようだが」
「…ええ〜…。あ、喘ぎ声って…; だ、だってあれはァ…、ふ、ふ、フカコーリョク〜?って奴だしい…。フィンクスが変なとこ触る、から……」
「レヤード。」
強めの語気で名を呼ぶと、レヤードはびくりと反射的に口をつぐむ。
「お前はオレの飼い犬。お前を懐かせるために、オレがどれだけの時間と手間をかけたと思ってる。なのにお前は今や、旅団の誰にでも簡単に尻尾を振るようになって」
レヤードの濡れた翠緑と間近にジッと目を合わせ言う。
だがクロロも真剣に怒っているわけでなく、むしろどこか楽し気に口元にはうっすらと意地悪な笑みを浮かべていた。
レヤードは「え…あ?…え、えと…」と困ったようにその翠緑をあちこちに泳がせて、最後にはクロロの瞳から視線を外してしまう。
「し、シッポって……。だってそんな事言われても…。『仲間だ』ってみんなのことオレに紹介したの、団長じゃん…。お前の仲間だから、オレだってみんなの事信用したのにさ……」
「まぁそうなんだがな。…案外不愉快だったんだよ。オレだけに懐いていたはずの犬が、オレ以外の人間にも尻尾を振って懐いているのを見るのは」
「ぇえ…?」
どういう意味ィ?と口にしようとするが、それより早くクロロに―――レヤードを呼ぶ真摯な声に遮られた。
「いいか、レヤード。―――何度も言うが、『お前はオレの飼い犬』だ。飼い主はオレ1人。団長・団員の関係である前にな。
お前が懐くのはオレにだけで良い。誰にでも簡単に尻尾を振るな。無防備に腹を見せたりするな。知りたいことがあるならオレが全部教えてやる。……キスも、自慰も、セックスも。全部な。
だからお前はオレのことだけを見ていろ、レヤード。尻尾を振って懐くのは、オレにだけで。―――わかったな?」
「んっ、」
続く答えを封殺するかのように、クロロはレヤードの顔を押さえたまま強引にキスを交わす。
舌を押し付け合い、吸って、絡めた唾液で舌先に糸を引く。
「…あ…、…は…っぁ……なんなの〜?団長、オーボーじゃない〜〜?いつもはさ…、オレは団長だしお前は団員だしって…線引く、癖にさぁ……」
息継ぎがまだうまくできないのかはあはあと口で息をしながら、レヤードは力の抜けた体でクロロの胴にすがる。
「他の奴らの手前はな。だがここにはオレとお前しかいないだろ?今ぐらいは少し言わせろ。……それとも嫌だったか?」
「…だから、嫌とかそーいうずるい言い方やめてくれるぅ〜…?そんなん言わなくてもさあ……お前がオレの一番なのは、お前だって知ってんじゃん、もぉ―――…」
「フフ…、そうだったな」
自身の腹に顔をうずめたまま、腰に腕を回してぎゅうっと強く抱きついてくるレヤード。
その頭を、クロロは両手で抱えるようにして柔らかく撫でた。
犬の頭を撫でるように、パステルカラーの派手なヘアピンがところどころに光るハネた黒髪から頬、そして首筋へと。
熱っぽい身体にゆっくりと指を這わせると、弱い場所があるのかレヤードは時折「ん…、ンッ」と耐えるような声を漏らして、赤くなった耳をピクピクと動かし身震いした。
そのうちに我慢が切れたのか腰に回していた腕を解いて、ゆるゆるとつたない動作で今度はクロロの腕を捕まえた。
「……どうした?くすぐったかったか?」
「んー……。団長ってぇ…、オレの事撫でんの好きだよねぇ―――…」
顔を上げ、掴んだクロロの両の手のひらを自身の両頬に押し付けながら「なんでー?」とレヤードが言う。
上気した赤い頬で。とろりとほろ酔いの上機嫌な顔つきで楽しそうにクロロの黒い瞳へと微笑みかけて。
「ああ、お前の頭は手触りが良くてな」と頬を擦るように手を動かすと、「うひひ、何それ!だからくすぐったいってのー!」とレヤードはケタケタ笑い出した。
そして再びクロロの腰に腕を回して、その身を抱き寄せてきた。
「オレもねぇー?オレも…、ホント…、団長のこと、好きだよー…。ずーっと言ってるかもしんないけどさぁ……。
昔からずっと…。初めてお前と遭った時から……。ホント…、好きで…好きで……しょーが、なくて……。ヒトメボレってぇー、ヤツかなぁ―――…?
お前の匂い、オレ好きなんだァ…。あったかくてぇ…、いーニオイして……。すごいスキ……」
クロロの腰を抱く腕にぎゅうっと力を込め、レヤードは再びクロロの腹に額を埋める。
鼻先を押しつけ愛おしそうにすんすんとその匂いを嗅ぐ様はまさしく、無二の飼い主に懐く大きな犬のそれだった。
その姿にクロロはくすりと笑みを零し、大きな黒犬の頭を抱えるようにして撫でさすった。
「匂い、か…。まあ、匂いに敏感な哺乳類は大半が、遺伝子的に相性のいい相手をその体臭で判別するらしいからな。『いい匂い』に感じるという事は、お前にとってオレは相性のいい相手だという事だ。
オレには匂いなんてわからないが、女に比べて男はそういった感覚に鈍いとも言うしな。動物並みの嗅覚を持つお前なら嗅ぎ分けられても不思議じゃないだろうが」
「フヒヒ…。そーゆームズカシーのはァ、オレよくわかんないからあ……いーよォ…」
「フッ、本気にするな。ただの皮肉だぞ?」
「えー?お前それ、もしかオレの事バカにしてるぅ…?でもねぇー……?お前の匂いはさぁ……ホント良いニオイなんだよぉ…?なんか……こーしてると……すごいドキドキ、して……。とろーんて…ねむくなる……」
「ふ…、そのまま寝られるとその間オレは立ったままでいないといけなくなるだろ?寝るならベッドに横になれ」
話すうちにだんだんと意識を不確かにしていくレヤードのフラフラの重い頭を、両頬に添えた手で支える。
「レヤード。」ともう一度穏やかな声で呼びかけると、レヤードは眠そうに閉じていた目をゆっくりと開けて、そこに在る翠緑で――――とろとろに溶けたそれで再びクロロの黒い瞳を見上げてきた。
薄ぼんやりと開かれたレヤードの、もはや泥酔状態と言っていいような焦点の合わない濡れた翠緑。わずかに薄く赤みの差した頬。
何も考えられないような蕩けた顔でぺろりと舌を出し自身の唇を舐めたと思ったら、「ねーね…」とレヤードがもう一度クロロの身体へとすがってきた。
「だんちょ……、あのさぁ…。おれ、もっかいお前とキスしたい……。お前とすると…、なんかすごい気持ち…くて…。あたま…か、かき回されるみたいな…。ふ、ふわーって…、でも身体はね、あ、あっついし…………やっぱぁ…オレ、…なんかオレぇえ………、やっぱ変だよぉ……」
細めた翠緑の瞳からぼろぼろと涙を零し、開いた脚の間を押し上げるモノを布越しに握りながら、レヤードがそう懇願してくる。
手の方は無意識なのか、自ら擦り上げておきながらその刺激に驚いたように身体をビクつかせ「ぁ、…はッ」と嬌声を漏らす。
普段酒に酔ったところでいつものうるさいおしゃべりに拍車がかかるぐらいで、醜態なんてまず晒したことのないお前がこんな乱れ方をするなんて。
今さらながらにクロロは先日にフェイタンから受け取って、軽はずみにレヤードに飲ませてしまったあの薬の効果を実感する。
……いや、聞いていた限りではもう少しキツイ症状が現れるはずなので、酒を飲んで薬ごと吐いて、まあ今回が特殊なのだろうが。
タイミングを一歩間違えていたら、オレ以外の前で―――フィンクスやフェイタンの前でこうなっていたかもな、と笑えもしない考えが頭をよぎり、クロロは「悪かったな、レヤード…」と静かに零した。
「は、あ…っ、う…。く、クロ…ぉ〜〜…」
「……レヤード。イキたいか?」
「わひゃんな…っぁ…、き、…ッ…、お前とっ…き、キスはしたい……」
ぎゅうっと自身を握りしめ、前屈みに身体を丸めて空いた手でクロロのコートにすがる。
答えを聞いて、……ああ、お前はまだキスの気持ちよさしかまともに経験してなかったな。などと思う。
「分かった。良いぞ」とレヤードの顔を持ち上げ、はあはあと熱い吐息を零していたその口に、クロロは自身のそれを重ねた。
口を合わせたままお互いの舌をもつれさせるように舐め合い、舌先に甘く吸い付いて唾液を絡める。
「…っは、」と息継ぎの合間にも互いの濡れた舌を表に出して、ピチャピチャと妖しい水音を奏で続けた。
2、3日前までキスのたび身体をガチガチに固めて面白い顔をしていた奴が、まだ受け身とはいえずいぶんと巧くなったな、と何やら感慨深く思う。
そして再び深く口づけを貪りながら、クロロはレヤードの身体を後ろのベッドへと誘導した。
ずり落ちて脱げかけのパーカーの内側に腕を入れ、背中を支えてゆっくりと押し倒していく。
クロロもまたベッドに膝を乗り上げ―――、ベッドに肘をついて自身の身体を支えるレヤードと身体を押しつけあうように重なり合った格好で、そのまま何度もついばむように舌を吸いあって。
開かれた脚の中心に置かれたレヤードの手の上から硬くなったそれに指を立てると、ビクンとレヤードの身体が跳ねた。
「―――あッ、…待っふぇっ、クロッ…!今それっ…!!」
「言ったろ?全部教えてやると。……お前をこんなにしたのはオレだからな。責任は取ってやる。
キスも、キスより気持ちいいことも全部。これからオレが最後まで教えてやるよ、レヤード…」
「あっちょ…!やだって…!もっ、〜〜〜ッ!!」
首筋に口づけ、強く吸って痕を残す。それにすらゾクゾクと身体を震わせ、レヤードはその大きな身体をよじった。
口を結んで顔を逸らしたレヤードに、クロロは「そのまま我慢していろよ?声も、ギロチンも」と意地悪気に口元を吊り上げ囁く。
耳に触れるその吐息にすら「ひ、」と目を見開いて、なおさらに息を荒げるレヤードをよそに、クロロはレヤードの着ていたタンクトップのシャツを胸上までめくり上げ、鍛えられた筋肉に沿って舌を這わせて――――レヤードの手ごとゆるゆると擦り上げていた下半身のモノの前へ。
ジッパーを下げて下着をめくり出て来たそれにも舌を押し当てると、温かい濡れた感触にぎょっとしたレヤードが「ちょちょちょちょ!??」と慌てて身を起こし、クロロの口とそれの間に手を差し込んで止めてきた。
光景のあまりの衝撃さに、我に返ったらしい。
「…なんだ?」
「―――な!?なな…『なんだ?』じゃなくってさ…!?お前…っ、さ、さすがに何しようとしてんのォ!?」
「何って……AV何本も見てればフェラぐらい普通に知ってるだろ?」
「し、知ってるけど!そーゆー問題じゃなくてっ…!キスとか、百歩譲って触るぐらいならまだ悪戯って言って済むかもしれないけどぉ…、さすがにそれはさ…!悪戯じゃ、す、済まないん…だけど……!」
「純情か。……悪戯のつもりはないんだがな」
「あ゛っ!?ちょっとそれ止めて!!」
小さくため息をつき、クロロは先走りで濡れていたレヤードのその先端を人差し指でくるくるとなぞった。
鈍い刺激を嫌がり、レヤードは自身の先端をクロロから引き剥がして手で覆い隠してしまう。
「…レヤード。」
フッと嘲笑うように口角を上げ、どこか楽しそうな目でクロロが見つめて来る。
それをレヤードは「ぅ〜〜……、〜〜〜〜っ」と目を泳がせながらに真っ赤な顔でなんとも恥ずかしそうに受け止めていたが、やがて意を決したようにその翠緑をクロロの黒い瞳へと向けた。
「あの……だ…団長…はさ、そ、そんなにオレと…せっ、セックスしたい…?」
「ん?…ああ。したいな?」
「も…!!も、もーちょっとさあ!その…!情緒とかないのぉお!?真顔で即答しないでくれるぅ―――!?」
「フフ、じゃあどう言えば良かったんだ?お前がヤリたいかどうか訊いてきたんだろ」
「うぅうう…」
悪戯っぽく笑って、クロロは再びレヤードの頭を犬の頭を撫でるかのように撫でた。
さすがにおちょくられていることにも気付いて、真っ赤な顔を隠すように片手で頭を抱えるレヤードだったが、「……ぁあ゛――もぉ〜〜〜〜!!」とそのままがしゃがしゃと頭を掻いて再びクロロに向き直った。
「お…っ、オレはね?団長…の……クロロのこと、ほんと…初めてお前に遭ったあの時から、オレはお前のこと…、ずっと好きだよ…?
そりゃ…す、好きって言っても、恋で、好きの好きじゃないけど……。でもお前をオレの飼い主に選んだこと、オレは間違ってないって…。ずっと思ってるしっ…。
お前とこうして一緒に居るのがオレの運命だったって、オレは今でも思ってるから…!オレの飼い主になれるような、そんな奴がいるとしたら…、きっとお前しかいないって……。あの時からずっとさぁ…!
オレ…、だからお前のためにならオレ、ホントに何でもできるし、してやりたいって…、いつも…ずっとそう思ってるよ……?
でもさ……。だ…だから、だから……その…団長がそんなにさ、オレとしたいって言うなら……オレは全然…。し、し、してもいーけどね!??……するけどさ……。
だけど団長はさあ……!お前は…、ホントに……、それでいい…の…?クロロ……」
心配そうな、慈しむような目でクロロを見上げ、レヤードは言う。
どうでもいい人間を殺すときには躊躇なんて一切しない奴が『それでいいの?』とは笑える話だ。
どういう意味の顔なんだ?とレヤードの、別の意味で"らしくない"そんな顔をフッと鼻で笑い、クロロはレヤードの右頬にある蜘蛛のイレズミの、そこにある4ナンバーを親指でなぞった。
「…ああ。もちろん構わないぞ?そもそも「やろう」と最初に言い出したのはオレの方だし、わざわざお前を騙して薬を盛ったのもオレだ。
とはいえ…、初めてでお前が不安になる気持ちもわかる。男同士だからな。オレもあまり男の経験は無いが…、可愛い可愛い飼い犬のためだ。一肌脱ぐさ。
他の誰にも、これ以上の手出しはさせない。お前はオレの物だ。誰かに奪われるその前に、オレがお前を奪ってやるぞ、レヤード。……いいな?オレの犬…」
「や…!やや……優しくしてくださぃ……」
恥ずかしそうに両手で赤い顔を隠して、消え入りそうな声を出したレヤード。
乙女か。と心の中で突っ込みながらクロロはレヤードの頭をあやすようにポンポンと撫でた。そして顔を隠すレヤードの腕を掴んでゆっくりと引き剥がした。
濡れたようなレヤードの特徴的な美しい翠緑が、どうにも落ち着かない所作でクロロの黒い瞳を捉えてくる。
「ふ…。レヤード。少し落ち着け」
「だっ!?だ、だってっ…!なんかっ、団長の顔見れなくて……!お、おれっ、お前の顔すごっ…、きれいでっ…!すっ、す、好きなんだけど…っ!!なんかすごい、お前の顔、み、見てると…胸がきゅうーってして…、なな、なにこれぇえ…」
胸のあたりを押さえ、目をぎゅっと瞑ってしょっぱい顔で首をかしげるレヤードを、クロロは「わかったわかった」と楽しそうに笑って撫でる。
「なんならもう1回キスから始めるか?」
「き!?ふえぁ……き、き、キス…。あ、あ…!えっと!その……あっと…、う、うん…ごめん…。そ、そ…、そーしてく、くれると……」
好みドンピシャと言ってもいいクロロの端正な顔に間近に詰め寄られ、焦ってオロオロとパニックを起こし始めたレヤード。
子供のような反応を繰り返すそんなレヤードの両頬を、クロロもまた両手で抱えるように押さえて、もう一度ゆっくり「落ち着け、」と繰り返した。
いかにも愉快そうに薄い笑みを浮かべたクロロの、その綺麗な笑顔のどこを見ていいのかわからず。
耳まで顔を真っ赤にしてうつむいてしまったレヤードを、クロロは両頬に添えた手で強制的に上向かせた。
顔を近づけようとすると若干の抵抗を手に感じる事もあったが、お構いなしにクロロは自らレヤードの唇と自身のそれとを交え。
そのまま何度かついばむように触れ合っているとやがては抵抗も無くなって、レヤードの方から恐る恐るに舌を使ってキスを求めてきた。
クロロもまたそれに応えるように自身の舌を絡め、その合間に再びレヤードの硬くなっていたものへと手を添えた。
先走りに濡れる先端を親指で擦り、握りこんでくちくちとわざと音を立てるようにして扱く。
わずかにピクリピクリと身体を反応させるレヤードだったが、それでも舌先をクロロの舌から離すことはせずにキスを続けた。
しかし次第に息遣いが荒くなり、ついには耐えきれなくなったのか「あっ…!はっ!」と長い糸を引いて口を離した。
後ろに両手をついて身体を支え、だらしなく長い両脚を開いてそこから与えられる感覚のみに浸る。
そんな様を見て、クロロは『だいぶ良い恰好になって来たな』と、気を良くしたようにフッと悪い笑みを浮かべた。
そして再びその身をかがめ――――
「…はわっ、あ、ちょ…!?待っぁ……、だからだんちょ……!舐めんのは…、〜〜〜あっ、やっ…!やっぱダメだってっ!」
「何がダメだ?この方が気持ちいいだろ?」
「そーじゃなくてぇ!?き、き、気持ちはいいけどっ…!好きでもないじょゆーさんが知らない男の舐めてるのと、団長がオレの舐めてるのじゃ全然…!
お、お前のきれいな顔でオレのとか…っ、視覚的ぼ、ボーリョクもいいとこ…っぅあっ、…ちょっちょ待っ!無理出る!!っあ、口離してっぇ!?―――ん、んんッ!!」
根元から舐め上げて、舌で包むようにそれを口に咥え何度かしゃぶると、それまで追い上げていたのもあってか割とすぐにレヤードは身体を硬直させて、ビクビクと熱を放った。
「…早い」
口で受け止めたそれをドロリと吐き出し、まだゆるく勃ったままのレヤード自身の上へとわざと垂らす。
「〜〜〜…!!だっ、だ、だって見た目の刺激が強すぎるぅー!!…も〜〜〜…!頭わけわかんないぃ〜〜……」
「わからなくなるのは構わんが。それよりどうだ?ギロチンはもう少しぐらい我慢できそうか?」
言いながらクロロはレヤードのブーツのヒモを手早く緩めた。
達した余韻かわずかに身じろいで抵抗するレヤードから、なんとか片脚だけその脱がせづらい軍用ブーツを剥ぎ取り、ズボンと下着を取り払った。
その様を赤く上気した顔でぼんやりと眺めつつ、レヤードは「…えっとぉ…」と鈍めな口調で答える。
「んー、なんかぁ……。殺したいって、そーいう気持ちはね?今は…まだ全然大丈夫……。あたま…ふわふわして…。気持ちい〜〜ん…だけど…。
ギロチンもさあ……、お前だったら…、オレ我慢するから…。今ならね…、今度こそきっと……。お前となら、セックス…できる気がするよぉ…」
「ん?そうか?お前の口からそんな言葉が聞けるなんてな。……だがまあ安心しろ。あの頃はともかく、今はそう簡単にお前に殺られるオレじゃない。例えお前のギロチンが暴走したとしてもな。
不安なら手でも握っておいてやるぞ?」
そう言ってクロロは、後ろに手をついていたレヤードの左腕を持ち上げ、その手のひらに自身の右手を合わせた。
そのまま指を絡めるようにして、俗にいう『恋人つなぎ』に手を握ってやる。
理解の追い付いていない顔でその手を見ていたレヤードに、クロロは「…意識しろ。オレの手だぞ?切り刻んでくれるなよ?」と薄く笑いながらに声をかける。
そして「ん?ん…んー…。うん」と呆けたままこくんと頷いたレヤードを撫で。
顔を上げたレヤードのその翠緑の目の前でこれ見よがしに舐めて濡らした指を、あらわになった脚の中心へくにくにと押し当てる。
「…え、……え?」と困惑した顔を見せるレヤードが、行為の意味を理解してしまう前にクロロはその指を奥へと押し込んだ。
「―――んん!?あっ…!?ええ!!?なに!?クロっ…!?そこ…!どこに指入れっ!?ぇええ…!??」
驚いて逃げようと後ずさるレヤードを繋いだ手で引き戻し、「ちょっ、ちょ、やめて!」とそのまま押して引いての腕相撲。
レヤードは離したがっていたがクロロは決してその手を離さず。
本当に腕力勝負の『力づく』でならレヤードの方が明らかに力が上なのにそれをしないという事は、薬の影響か何かでそこまで頭が回っていないか、頭を回すほど嫌がってるわけじゃないんだよな?と解釈して。
クロロはその間に差し入れた指を2本に増やし、先ほど前の方へと垂らした白濁のぬめりも使ってそこを押し拡げていく。
「前立腺って言ってな。この奥に、女にはない男だけ気持ち良くなれる器官がある。まあ女は女でそもそも挿入する穴が別にあるしな。こっちに入れるならむしろ男の方が気持ちいいらしいぞ?」
「誰もそんなん訊いてないしっ…!ってか、入れ…って、待って、オレが入れられんのぉ!!?一肌脱ぐって言って、それ普通さ!?クロロが、……あっ!?……あ……??……あ…っ!??」
奥まで差し入れた指がある一点に辿りつき、無意識にびくりと身体が硬直する。
ぞわぞわと何かが這い上って来るような感覚に知らず知らずにレヤードの翠緑から涙があふれた。
「……ここだな?お前のイイところ」
「ァ、―――ッひ…!!」
中を指で刺激されて、そのたびにゾクゾクと強い快感が背を奔り、頭のてっぺんまで突き抜ける。
思わず出そうになる変な声を手で抑えたため、支えを失ったレヤードの背がベッドに倒れた。
「うあ…っ、ぁアッ!!?やめ、…そこっ、はっ……、ぁ!待って…!なっに、これ…っ、ぇえ…っ!!」
「すごいな。そんなに気持ちいいか?お前も初めてだしこのままだとキツそうだから、ちょっと念入りに虐めてやるよ」
「ひっ、やっ〜〜〜あ…、なにそれやだって…!ホント変なる…!!頭おかしくなるからぁ!!ゆっ、指っ…!指抜いてって…!!?くっろ…!!あっ、ちょっと!?女の子じゃないから乳首もやめてくださぃい―――!!」
身体の奥を指で押し上げながら、その反動なのか反り返って突き出されていた胸板の上の突起にクロロは舌先で触れる。
舐めて吸いつくと、新たに加えられた別の刺激に目を見開いたレヤードがとっさに右手で止めようとしてくるが――――隙無くクロロに指先で中を先に引っかかれて、突き抜ける快楽に歯を食いしばる。
その手も力無くクロロの肩に添えられるだけに終わった。
そのあとはただ息荒く言葉にならない喘ぎ声を短く漏らし、与えられる快感から逃げようとしてか硬直させた身体を時折よじるくらいで、レヤードは悩ましく眉を寄せ赤く上気した顔を隠すように背けていた。
「…っ、あ…、ぅ…んっ、クロロ…」
だらしなく開いた脚を痙攣させ、それでいて前は硬く立ち上がらせる。
『なるほど、視覚的にわかりやすくて便利だな』などという感想を抱きながら、ようやく指2本を広げられるくらいに柔らかくなると「もうそろそろ良いか?」とクロロは指を引き抜いた。
そしてその感触に視線を上げたレヤードの、涙でしっとりと濡れた翠緑に向けて――――
クロロは見せつけるかのように着ていたものをコートから全開にして鍛えられた身体を惜し気もなく晒した。
それで次の行為を悟ったレヤードが、嫌がって半泣き状態でフルフルと頭を小さく横に振る。
が、お構いなしにクロロは硬くなっていた自身のそれをレヤードの前へと擦りつけた。
先ほど吐きかけた精液とトロトロに溢れていた先走りのぬめりをたっぷりと借り、「まだ気をやるなよ、レヤード」とそれを力の抜けたレヤードの脚の間へと押しつけて。
レヤードが逃げ出すためにか繋いだ手を解こうとして何度も腕を引くが、クロロの方はもちろんそれを許すことなく。
それどころか繋いだ手とは反対の腕までもを掴まえて、やや強引にレヤードの中へと押し入った。
突如、身体の芯を貫いた熱にレヤードの翠緑が見開かれる。
「―――んっあ…っ!!ぁああ―――ッ!??ちょっ…、いッ…、待っ…!お前っ!?だんちょっ、何してッ!!?…なんっ、なんでっ!?何ナカ入ってっ…!??―――ッア゛!?やっ、それっ…!動くなって!!無理だってぇえ!!」
「無理じゃない。喚くな。十分ほぐれてるし入るのは入ったんだ、薬もまだ効いているようだし黙っていればすぐに悦くなるさ」
「ウッッソじゃん!!?絶対テキトーじゃん!?オレ、お前のそーゆーの分かるからっ!…ってか…!あっ、ひっぐ…!?ちょ!そこっ!!?アッ、やだって!!」
「ああ、っふ…。なるほど。ここだな?」
「なにがなるほどなわけぇえ!?あ゛っ!!?ひ…、ちょ!ちょ…っ!?もっ…、そこばっかやめてってば!?…ぁあ、―――アッ!?あっ…ふ……ぁ…にゃにこれっ…、ひあっ、きもちぃっ……!なにこれっ…!?頭おかしっ…!めっちゃ気持ちイイ…!クロロぉ……?」
両腕を引かれ、奥まで挿し込まれたままさらに奥へと身体を揺さぶられ、レヤードの背が大きく仰け反る。
嫌がる場所を狙ってピストンを繰り返せば、ぼたぼたとレヤードのモノが嬉しそうに涎を垂らして。
細められた翠緑の瞳からは生理的なものか涙があふれ、感じているのか内襞を擦り上げ奥を抉るごとに喘ぎ声に甘えが混じっていく。
「あっ、…ア!やぁ…、は…っ、あ、クロッ…おれっ、なんか、も…なんかヤバっ…出そ…っ、アぁ…!無理っ…、むり、オレ…っ、もぉ無理ぃい……!」
「そうかっ…?お前、薬の影響もあるとはいえ初めてで中イキ出来るようならかなり才能あるぞ?オレもなかなかきつくてイイ…。イキそうだ」
息荒くそう言って、クロロはレヤードの掴まえていた方の腕を解く。そしてその手で今度はレヤードの雄を握りこんだ。
後ろは激しく腰を打ちつけながら、先端をぬめりと共に手のひらで撫でこすり、裏筋に沿って陰茎を擦る。
「フェああ!?ちょちょちょっ!??なにしっ!?あッひ、クロッ、今それ待って、ダメだってっ…!!」
「ん?そうか?刺激欲しそうにしてただろ?それに…まだココよりもやっぱりこっちの方が気持ちいいんじゃないのか?締まったぞ?」
「あ゛っ、だからそれっ…!奥ゴリゴリすんのもやめて!もおっ…、頭ばかになるぅう…っ!!」
「…いちいち注文のうるさい奴だな。前も奥も一緒にやって欲しいって事か?……ほら、イけよ、レヤード。早くイけ。そうしたらご褒美にそのままオレも中で出してやる」
「やっ、や…、待っ…!中ってさあ!お前…っ!あ、あァっ!?…だかっ、もっ、それっ、全然嬉しくないっ、からぁああ!!…あ!?ヤバ、またなんかイッ…、待って、あ、んっ、んぅ、〜〜ッ!!」
解放された腕でクロロの首の後ろを抱き、もう一方の手はがっちりと組み合ったまま、背を丸めてレヤードが絶頂する。
自身の身体に白濁を吐きかけ――――
クロロもまたその反動で息を詰め、がくがくと痙攣するように脈動する中へと滾る熱を吐き出した。
その感触にレヤードもまた腹筋をビクつかせて。
「あっ…ぁ…はぁ、もっ…。出すって言って……なにホントに中で出してんのォー…?し、信じ、らんないん…だけど……。オレ女の子じゃないの…クロロわかってるぅ……?男だよォ…?あ……ぁ…なんかすご…腹ん中…、あ、あっつ……」
目を伏せ、子犬のように小刻みに体を震わせながらぼやくレヤードの頬に、クロロはリップ音を立てて軽めのキスを落とす。
「男も女も関係ないな。お前だからだ、レヤード。お前がオレの事を好きなように、オレもお前が好きだぞ?もう泣くな。らしくない」
そう言って、伏せられた目に溢れていた涙を指で拭った。
濡れた翠緑が、まばたきと共にゆっくりとその目線を上げて。
クロロの黒い瞳を再度捉える。
そのままはあはあと息を整えるようにレヤードは少しの間沈黙していたが、あるとき「ん゛っ、」と唾を飲んでその口を開いた。
「……あの…さ、クロロ…。あの……、オレ、なんかこのままキス…お前としたいんだけど……」
「ん?…ああ、構わないぞ。だがその代わり、お前はこのままずっとオレの物でいろよ?望みを叶えてやる分、ずっと可愛いオレの犬でいろ、レヤード……」
「なにそれ…、お前ホント横暴……。き、嫌いじゃないけどさぁー…?」
「フフ…、そこは『わん』と啼けよ」
楽しそうに言って、クロロは望みどおりにレヤードと唇を交える。
吐息と水音を零して舌を押し付け舐め合い、甘く食むように吸って口を離した。
その間、気が付けばいつの間にかレヤードはクロロに圧し掛かられる形で再びベッドに押し倒されており。
首筋にキスを落とされ、するりと指先で胸の突起をまさぐられて、レヤードはびくりと身体を反応させた。
「あっ!?もっ…。待ってよ、なんかっ…、お前の触るとこ、なんかもう全部気持ちいんだけど…。なにこれ…。さっきまでくすぐったいだけだったのにィ…。なんかオレ…、さっきからぁ…お前のせいで身体おかしい…、あ、…っひ」
「そこは薬のせいにしておけよ。身体が目覚め始めたんだろう?性欲無いよりよっぽど健全だと思うが」
「そ、そんな事言ってさぁ…!う〜〜…。このままオレ、変になっちゃったらぁ…、クロロさあ…、ちゃんと責任取ってくれるぅ〜〜?」
「責任か。ふむ…、そうだな…。欲求不満ならセックスぐらいいつでも付き合うぞ?」
「そーじゃなくてぇ!?もー!お前こそ欲求不満なら女の子誘えばいいじゃん、なんでオレなの〜〜!?お前、男でも何でも良いわけぇ!?このヤリチン大魔王〜〜〜!」
「ヤリチ……心外だな。男で抱いたのはお前だけだぞ?……ほら、後ろを向けよ。今度はバックも教えてやる」
「うぇ!?」
そう尋ねながらも返答を聞く気は無いのか、クロロはレヤードの素足に剥いた方の脚を掴み、入れたままの格好で反転させようとする。
太い先端のエラが、達したばかりの柔らかい部分をねじ切り、レヤードの口から「ヒッ…!?」と悲鳴とも嬌声ともとれる呻きが漏れた。
「ちょっ…ちょ、な、なに!?まだすんの!?」
「ああ。大喰らいのお前の事だ、まだまだこんなんじゃ足りないだろ?」
「それ食べ物の話ィ!?待ってって…!てかそれ足りてないのオレよりお前の方じゃないの!?」
「ヤブヘビだな。さすがよく分かってるじゃないか…っ?」
ニッと口元に悪い笑みを浮かべ、クロロは繋いでいた手を解いてレヤードの腰を掴み、自身をそこへと打ち付けた。
「―――あ゛っ!?あ、ちょ!やめ、もっ動くなって言ってんじゃん…!!ち、乳首もだからもう触んないで…!!なんか変なんだってば!!」
「慣れると男でも感じるようになるらしいぞ?開発してやろうかと思って」
「ひ、必要無いからそれェ――――!?あっ!?だからちょっ…!ほんとオレっ…!もう動かないでって!?」
「…ふ。こっちはそう言ってないけどな?」
「だからヒトのチンチンそーゆー触り方すんのも止めてくれますか!!?敏感なんっ…!?あっ、ぁ…!?お前ふざけんなしッ!?〜〜ッひ、あっ…!そこやだァあ…っ!」
キレ気味に、変に早口の丁寧な口調で抗議してくるレヤードのいつまでもうるさく喚く口を黙らそうと、奥まで繰り返し抉りながらクロロは再び熱を帯び硬度を増していたレヤードのモノに触れる。
本人は半泣きでもこっちは素直だ。と薬のせいもあるだろう、まだ萎える気配の無いレヤードのそれを笑って、それからクロロは着ていたコートをばさりと脱いだ。
「お前も脱げよ」とレヤードにも顎で指示し、息荒く「は…。あっ…、も、もぉ〜〜……っ!」と観念したようにしぶしぶ身体を起こしたレヤードと互いに着ていたものを脱がせ合い―――
男同士だなんて認識も壊れるぐらい、激しく突いて、啼かせて善がらせて、思う様に言葉で身体でねだらせて。
何度も肌を擦り合わせた。
そして何度目かの射精後の、行為中も身体を重ね合ったまま数え切れないぐらいにした甘い甘いキスの後。
下になったレヤードが涎の垂れただらしない口で、息を荒げながらに「…そーいえばさあー」と訊いてくる。
まだまあまあの余裕があるような口ぶりに、クロロもまた息を乱しつつ『体力半端ないなコイツ…何回したと思ってる…』と若干の呆れをにじませる。
それでも自身もまた疲れを見せないよう、ふーっと一つ長めの息を吐いて、「どうした?」と笑みを浮かべ乱れた髪をかき上げた。
全裸のレヤードがその時唯一身につけていた飼い犬の首輪を思わせるベルトチョーカーにキスを落とすと、「んんー?んー…。結局さぁ、お宝ってなんだったの〜〜〜?って…」と返ってくる。
意外な内容の答えだったのかそれを聞いてクロロは一瞬目をぱちくりとさせ。
「…ああ。お前は見ていなかったな」とブランケットをタオルがわりに汗と体液とで濡れた体を軽く拭いて、一旦ベッドを出た。
ベッド周りにゴロゴロと脱ぎ捨ててあった赤いロングパーカーや黒いコート、そのほかの布地。そして2足分のブーツを足で除けつつ、部屋中央のテーブルの元へと向かい。
椅子の上に安置してあったガラスケースを両手で抱えて戻って来た。
ガラスケースの中にはヒヤシンスの花に似た形状の、たくさんの小さな花弁で形成された大きな水晶の花。
透き通るようなクリスタルの花弁一つ一つに黄色、赤、紫、青などの様々な色合いの光沢が筋の様に入っていて、見る角度によって虹色に輝いて見えた。
「見る者に幸福をもたらすという、門外不出の宝石花だ。美術史に載っていた一節を読んだ時はもう少し美しい物かと思ったんだが…、実物を手に入れてみると案外陳腐だったな」
「ふ〜〜〜ん……」
「…興味無いか?」
「うん。無いかなー!」
「ふ…、だろうな」
「ってかぁ…、なんかさぁー。これオレが触ったらぁ、そんだけでメッチャ壊れそうじゃん??近くに置かないほーがいーと思うよぉー?
きっとオレ、よくわかんないうちに壊しちゃうからさぁ…。大事ならちゃんと隠しといたほーが良いと思うけどなぁあー?」
「フフ…、そうかもな。となると薬による体調の変化とはいえ襲撃の際にお前が勘を外したことも、ある意味では強運だったと言えるか?」
ふむ…と楽しそうに口元を上げ、クロロはわずかに首をかしげる。それから、危険を承知でガラスケースをベッド脇の小さなナイトテーブルの上に置いた。
レヤードはうつ伏せに頬杖をつきながらその様子を興味なさげに眺めていたが、クロロがベッドに腰掛け直した途端にニマッと嬉しそうに笑い、いつかのようにその背中へと抱きついてきた。
ベッド中央までクロロの身体を引きずり込み、背後から覆いかぶさるようにぎゅうぎゅうと抱きしめてくるレヤード。
後頭部に鼻を埋められている感触もするが、「匂いが好き」と先に言っていたのでそれだろうとクロロは解釈した。
「…なんだレヤード?重いんだが」
それなりに見栄えする程度に筋肉のついた長身に抱きつかれると、やはりそれなりに重量を感じる。
「…フヒ。あのねぇ、クロロー。オレさぁ〜〜?花も宝石もよくわかんないけどォ―――…。でもね〜?オレ、クロロの黒い瞳はねぇ?やっぱ好きだよ〜!
『宝石みたい』って言葉はァ、お前のその瞳みたいなのを言うのかなぁって!オレでも思うぐらい…、強くて、まっすぐでさぁ……。ホント…好きなんだァー…」
「誉め言葉なら悪くないな。オレも好きだぞ、レヤード。お前の瞳が」
そう言ってクロロは肩の上に顎を乗せて懐いてくる大きな黒犬の頭を撫で、少し含んだような笑みを零した。
しかし背後から抱きついていたレヤードにはそれも見えなかったようで、どこか楽しげなクロロのその声色にのみ釣られるように、その翠緑を細めて嬉しそうに笑った。
「それよりどうだった?少しは性的快楽というものも理解できたのか?」
「ええ…。今の今でそれ訊くぅ〜〜…??気持ちいいって何回オレに言わせたのさ…。わかってて言ってるっしょお前それ絶対さぁ〜〜〜…」
「シラフのお前の口から聞いてみたいんだよ、レヤード。このままだとお前、絶対薬のせいにするだろ?」
まあ実際薬のせいだが。と思いながら笑って言うと、レヤードは面白くなさそうに『むー』と口をへの字に曲げる。
「レヤード。」ともう一度呼びかければ、少し照れくさそうな、子供のような態度で口をとがらせ答えてくる。
「ん〜〜……、気持ちはァ…たしかに良かったけどォ―――…」
「…けど?なんだ?」
「んー…、いや……。ってゆーかさあ!?あれはさー!もうセックスじゃなくない!?お前がオレを好き勝手おもちゃにしただけじゃない!??」
「………あれがセックスじゃなくて何なんだ。それに勘違いするなよ?オレの目に適ってなければ…、少なくとも好きでもなければ、いくらなんでも男なんかを、それもあんなに何度も抱いたりはしない。
お前だからしたんだぞ?レヤード。それを覚えておけよ。それにおもちゃと言うがお前だって途中からはずいぶん乗り気で来てたように思うが?」
「そ、それはさあ…!!……き…き、気持ち良かったしィー……。相手がお前だったから…オレだって……。お、オレ、お前のこと好きだしいぃ…!
あ!で、でも!オレが言ってるのは、そーゆーことじゃなくてね!?そーじゃなくて……オレ、クロロとセックスしたかったのにィ……」
耳の後ろでボソボソとそう囁かれ、ぎゅう、と強く抱きしめられる。
……ん?何か話が噛み合ってなくないか?と思うものの、それと同時になにか嫌な予感を首筋に感じなくもない。
「…だからセックスはしただろ?まだヤリたいって意味か?」
「そーじゃなくて……。オレさぁー、最初からずっとクロロとしたいって言ってたよねぇ―――…?」
抱きしめていた腕を離されはしたが、代わりにごろりと体勢を入れ替えられベッドに釘づけにされた。上に乗りかかった格好で、レヤードの目がまっすぐにクロロの黒い瞳を見つめてくる。
…マズイ、これは嫌な予感がそのまま当たっている気がする。
有無を言わさない雰囲気に、思わず身体が逃げる。……が、レヤードもまったく逃がす気は無いらしく、クロロの両肩を押さえる腕に力を込めてきた。
強化系と隣り合う変化系の、その上体格も良いレヤードに純粋に腕力で来られると、特質系のクロロではさすがに分が悪い。旅団内でおふざけでやった腕相撲ですら一度だってクロロはレヤードに勝てたことは無いのだ。
能力を使うにおいても、こうして掴まれ密着した状態ではクロロの『本』を具現化してからの盗んだ能力の発動より、レヤードのギロチンの能力発動の方が一段階早いだろう。
普段からスキンシップの多い奴だから少し油断した。お前ずっと機会を伺ってたな?と小さく舌打ちした。
「…一つ聞くが、レヤード。それはオレで童貞卒業したいって事で良いか?」
「うんうん!そう!ってかオレずっとそのつもりで言ってたんだけど…。むしろなんでオレがお前に抱かれなきゃなんないわけェ!?普通「経験させてやる」って、「一肌脱ぐ」って、そんなこと言ったらお前が女の子役で、オレの上乗ってくれるって思うじゃん!?オレがお前にあんなんされる意味がわかんないから〜〜!」
レヤードのそんな半泣きの叫びでクロロは確信する。
"オレは良いけどクロロは良いの?"とやたらとレヤードが訊いてきた理由。
オレが『受ける方』だと思っていたからか、と妙に納得した。
「ねーねー、だからさぁー。……良いよね?ねー?クロロぉ〜〜??」
半泣きの顔から打って変わってニパーッと笑ってレヤードは言う。
……が、細められたその翠緑の目は全く笑っていなかった。
いつかのように研ぎ切ったナイフのような鋭い目で。獲物を前に飢えたように舌なめずりを見せて、まっすぐにクロロの黒い瞳を見下ろす―――黒い獣。
あんなに何度もオレの下で啼いて善がって可愛く懐いてとしていた愛くるしい姿の子犬はどこに行った、とため息をついた。
「……それで『優しくしてくれ』と?…はぁ。……それはまた今度な」
「え―――!?なにそれぇ〜!?お前、ヒトの事散々好きにしといてさぁ!?オレ、お前となら出来るよ!?ギロチンもさぁ!もーゼーンゼン、お前となら我慢できるしィ〜〜??」
「気分じゃないな。そもそもやり方知らないだろ、お前。ただオレのしたことを反復されても反応に困る」
「はあ!?ホントお前何!?ズルくない!?やり方知らないとか言うけど、あんだけやればさすがにオレでも覚えるからね!?
ってか冷静になって考えたらさ!女の子のAVでだって二穴ぐらい見たことあったしさ!?そういや女の子でもお尻に入れることあったなぁああーって…!よく考えたらさあー!」
「二穴…マニアックだな。誰持参のAVだ。……いや、まあそれはとりあえずいい。オレもさすがに疲れたんだ。
お前にだってずいぶん無理させたし、もう薬だって抜けたんだろ?今度で良いじゃないか。今日はこのまま2人で仲良くくっついて寝よう?」
そう言ってクロロは優しく笑ってレヤードの頬に手を伸ばす。
右頬にある4ナンバーの蜘蛛を手のひらで擦るように撫でたが――――レヤードはそれに対して再び目を細め「ん〜?」とばかりに首をかしげ、それからニヤリと犬歯を見せて笑った。
それを見て、『…ああ、この顔は。』とクロロは思う。
レヤードがオレの嘘やごまかしを見抜くときの素振りだ、……と。
「こ・ん・ど、…ねぇえ〜〜…?オレはねぇえ――…?今が良いなぁあ〜〜??だってお前ェ、ゼッテー逃げる気満々だしぃ…、そーゆー目してるぅ〜〜〜!何言ってもさぁ、お前の嘘とかぁ…オレわかるからねぇええ??」
捕食者の様相でにじりっと詰め寄られ、ブランケットの下ではその長い脚に押さえつけられるように上に乗りかかられて、『……まずいな、このままでは逃げられん』とクロロは目を細める。
「いーじゃん!オレ、お前になら優しくできるしィ…。"好きだから"、お前とならなんでも出来るよぉ!?ギロチン痛くとか絶対しないからさぁあ〜〜〜!?
ってかオレもう"こんな"でぇ…『次』まで我慢なんて、それこそオレには無理なわけぇ〜〜。………だからさ?……ね?いーよね??ねぇ―――っ?ク〜ロロ〜〜〜〜?」
先ほどの「好きでもなければしない」という言い回しを意識したような文句で、クロロの身体を下に組み敷いて、嬉しそうにその翠緑を弧月に歪めるレヤード。
擦りつけて来る下半身の、"我慢できない"それの硬さを腿に感じる。タフだな、という感想しかない。
獲物を追い詰めるその美しい翠緑瞳に、クロロが最も好んだ色である歪んだ"黒"い光が混じる。――――が、その色もまた自分に向けられているとなると話は別だ。
クロロの顔からついには余裕の笑みが消えた。
「…ふ。――――『待て』だレヤード!!」
「待ぁったなああ〜〜い♪♪好きだよ―――、クロロぉ!愛してるってぇー、好きってさあ!こんな気持ちかなぁああ!?今日はもうずっと離さねーしィ〜〜〜?さんざ弄んでくれた分ねえ?覚悟しといてよね―――!?」
「待てって、くそっ!〜〜〜この馬鹿犬!!」
わふわふと尻尾を振り、嬉々として覆いかぶさろうとしてくる駄犬の頭をバシンと叩く。
しかし殴られたレヤードはそれで怯むどころかなおさら煽られたように、「えへっ!うひひ!」と楽しそうに抱きついて来て―――
結局はその盛りのついた犬を引き剥がすことに失敗したクロロだった。
下剋上!
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レヤード<「だってさぁ、普通思うよねぇ?クロロの方がぁ、顔きれいだしィ…背だって低いしィ」
クロロ<「身長の話はするな」
レヤード<「痛ぁ!?」
すもも