小ネタ短編◆無自覚カリスマ&笑う死神
※クロロ夢「無自覚カリスマ」と「笑う死神」のコラボです






「…だからさ、クロロも手際はいいんだから覚えればちゃんと作れるようになるって」

「そんなものか?」

アオイのお気に入りという、ある小さな喫茶店でクロロとアオイはそんなことを話しながらお茶を飲んでいた。



「アオイはともかくオレがエプロンして水場に立ってるところなぞ想像できんが」

「別に花柄ピンクのエプロンしろなんて言ってないだろ。黒エプロンでいいんだよ。エプロンにだってちゃんと男物とかあるんだぞ?」

「そうなのか、知らなかった。…というかオレは別に花柄ピンクのエプロンとは一言も言ってない」

「なんだクロロ、じゃあお前ピンクのフリルエプロンとかのがよかったのか?メイド?」

「どうしてもピンクなのか!しかもフリルか!メイド!?オレが!?とても嫌だな!!というか今話題にしてたのはエプロンのことじゃなかった気がするぞ?!」

「わはははは、何だよ本気にすんな」



2人で暮らし始めてもうしばらく経つ。

アオイが朝晩と絶品料理を出してくれるおかげで、クロロは日々の食事が楽しみのひとつになっていた。


しかしアオイも、ハンターである以上家を空けることが多く、そのたびにクロロは食事を抜いたりパンやコーヒーだけとか、コンビニ弁当だけで過ごしたりと、美食ハンターであるアオイからしてみれば信じられないような食生活を送っており、

そのため「おま、オレがいないときくらい自分でメシ作れ!!」とアオイがキレるまでにそう時間はかからなかった。


いまも、アオイはクロロに料理を覚えさせようと必死で説得していた。

…のだが、話し始めて2時間。話は脱線するばかりで結局まだ説得には至っていなかった。




「そんなに怒らなくてもいいじゃないか、アオイ。別にオレが料理なんて覚えなくたって、お前がずっとオレの元にいてくれればいいし。ハンターなんてやめてライセンス売っちゃえば、一生食材には困らないくらいの金だって入るだろ?」

「待てクロロ、それはおかしい。お前の言い分はオレの事を完全に無視してる。
 オレは料理がしたいんじゃなくて、うまいものとか新しい味を発見するのが楽しくてやってるの。食の探求はオレの命題だから。ハンターはやめない。そもそもオレはお前の家政婦じゃねぇ。」

「嫁だろ」

「いや、お前の扱いはどう考えても家政婦とかメイドの類だろ」

「やはりオレよりもアオイのほうがメイド姿は似合うと思う。ファンシーエプロン似合う男はそうはいまい」

「あれはお前が買ってきたからオレは仕方なくな!!」

「違う、盗ってきたんだ」

「どのツラ下げて!?どんな顔でお前はあんなエプロン盗ってきたんだよ!?」

「それを平然と着るお前もどうかと」

「オレは…っ!……いや…、そうか、わかった。―――もうお前んトコなんか出てってやる!本日限りでジッカに帰らせていただきますオレ!!」

「すみませんアオイ様どうかそれだけは」


「…なんです?男2人、喫茶店で漫才のお稽古ですか?それとも痴話げんか?どっちにしろみっともないですよ。外から丸見えですし」


椅子から立ち上がるアオイを引きとめようとガッとクロロがアオイの手を握ったところで、カラランっと店のドアのカウベルが鳴いて、別の誰かの声が割り入ってきた。


「仲がいいですねぇ」と薄く笑いながら店に入ってきたのは、長身の男だった。

聞き覚えのある嫌な声にクロロが顔をしかめる。


と同時に、目の前のアオイがみるみる顔色を変えていくのをクロロは見た。



「キリエ!!お前、何しに来やがった!!」

びし、とキリエを指差してアオイが吠えた。


「こんにちは、アオイv 嫌ですね、私だって生きてるんですし食事くらいさせてくださいよ」

「じゃねーよ!何でお前がオレのお気に入りスポットにいるのか聞いてるんだよ!!」

「そりゃあ…、美食ハンターである貴方がお気に入りの店なら間違いはないと思いまして」

「はぁ!?職権乱用だろ情報屋!このストーカー!!」


両手をヒラヒラとさせてあっはっは、と笑うキリエにツッコミを入れるアオイ。


この2人知り合いか?とクロロは思ったが、同時に、キリエが情報屋でアオイがハンターだったことも思い出す。

知り合いだったとしてもなんら不自然ではない範囲だろうと納得する。



…………ストーカー?




「まあまあそう目くじら立てず。では情報提供料としてここの会計は私が持ちますよ?何かお好きなものを頼むといいでしょう」


キリエのそのセリフに目を輝かせたのは、今の今までキリエを邪険にしていたアオイだった。

嬉々として

「店長!オレ、チョコレートサンデー!」と注文を出すので、クロロも続けて

「じゃあオレはプリン・ア・ラモード」と、平然とした表情で注文した。

その横で「なんですかこの甘党2人」とキリエは呆れたようにつぶやいていた。




「…で?一体何の用なんだ、情報屋キリエ?まさか本当に食事をしにきただけではあるまい?」


ちゃっかり自分たちと同じテーブルに着いたキリエに、クロロは当然の疑問を投げかける。

この男がただ食事のためだけに自分の前に現れたとは考えにくかったからだ。

しかしキリエはきょとんとして。


「え?私は本当に食事に来ただけですが?」

と言う。

クロロはちょっと汗が出た。



「見てろよ、クロロ。コイツすんげー食うぞ?見かけによらず」

「山盛りのチョコパフェとかプリンとか注文するあなた達に言われたくありませんよ」

「違う、チョコパフェじゃねぇ!オレはチョコレートサンデー!」

「オレはプリン・ア・ラモードだな」

「…どうやらツッコミが不在のようですね」


などと話しているうちに、アオイとクロロが頼んだパフェとプリンが店長の手によって運ばれてきた。



「―――でかっ!?」

とクロロ。

予想より大きなグラスにてんこ盛りで、豪勢なデザートが来た。

これだけで腹いっぱいになりそうだった。


そうアオイに言うと、

「安心しろ、うまいから結構ペロッと入るぞ?」

と笑顔で返される。


「あなたの場合、甘いもの用に胃袋もう一つありますもんね」

「人聞きの悪いこと言うな!お前こそ胃袋4個あるんじゃないのか!?」

「牛ですか私は。牛ですか。」

「なんで2回言う!」



デザートを運んできた店長に、ついでにと注文を出したキリエ。

内容は「ここから全部」とメニューの大半を指差したキリエに、店長とクロロとアオイは顔を引きつらせた。


それを棚に上げてアオイの事を馬鹿にするキリエと、テンポ良く突っ込むアオイ。

耐え切れずにクロロは笑った。


その顔は少年のそれのようだった。



「…クロロ?」

「どうかなさいました?」


同じように首をひねるアオイとキリエ。

それがますますクロロのツボに入った。手に持ったスプーンを曲げそうな勢いでプルプルと肩を震わせる。




「いや…、す、すまない。…意外とお似合いだよ、お前達も」

笑いをこらえ、こぼれた涙を拭いてそう言うと、



「「やめて(くれ)(ください)」」


と、また見事にハモってた。







――――結局料理の話はうやむやのまま、その日の晩飯もアオイが作ってくれました。byクロロ







おわる

どうもアオイ君とクロロがコンビで出るとギャグっぽくなってしまうのでどうせだからとギャグを前面に押し出してみました

すもも

TopDream小ネタ短編集◆無自覚カリスマ&笑う死神コラボ
ももももも。