silver fang 番外編◆台詞お題「傷のよく映える肌だ」(後編)
※ご注意※

ここから先は裏コンテンツです。イルミ様×執事(アゲハ)でエロですので注意。
男同士の性描写を含んでおりますので、苦手な方はメニューへ。

では大丈夫な方のみどうぞ。












「――――………。」





アゲハの、その白い肌の上に乗る真っ赤な傷口を見下ろしながらイルミは思い出していた。


アゲハを傷つけた、あの不届きな男の顔を。








(むかつくなぁ…)

黒髪をサラリと揺らし、イルミは1人ごちる。




アゲハはオレが見つけた、オレだけのオモチャだ。

オレだけが、これを傷つけ、壊す権利を持っている。



なのにあの男――――最後にナイフを持って飛び出してきたあの男。






あいつだけは本当に殺しても殺し足りない。

あんな一撃で殺さずにもっと痛めつけてから殺せばよかったと、いまさらながらにイルミは思う。


けれどそれも過ぎた事だ。

死体を刻もうにももう家に帰ってきてしまった。これ以上はどうしようもない。


とりあえず頭の中で思う様に惨殺して、それでイルミは溜飲を下げた。





――――となると、さて…あとはもう一つやる事があるなと、イルミはアゲハに目をやった。



犯人は殺した。

今度は、簡単に傷を許すこの愚かな犬にそれなりの躾をしておかないといけない。


せっかく痕を残さず治りそうといわれていたのに、戒めにでもしようとしてたのかあえて傷をかきむしって広げようとする馬鹿には十分にお仕置きしておかなければ。





(さて、どうしてやろうかな?)



と…、もう一度アゲハを見下ろして――――イルミは驚いた。



アゲハがいつのまにか、その宝石みたいな紅と銀の瞳からぽろぽろと涙を落としていたから。

急にどうしたのかと困惑の色がイルミの表情ににじみ出る。












「……アゲハ?」


「…っ!!…すみ、ませ…! ……わっ、わたしっ…」

「拭かなくていいよ。…何で泣いてるの?」


声をかけるとアゲハは慌てて袖で涙を拭おうとする。

だからそのアゲハの手を掴んで、無理やりにベッドへ押さえつけた。



ふだんのアゲハなら絶対に見せる事の無い、すがるような目。それが、弱々しくイルミを見上げる。




「? ……何?アゲハ?そんなにコレ、痛かった?」



アゲハの胸の上に乗る赤い傷を指して、イルミは尋ねる。


しかしすぐさまアゲハは『違う』とばかりにフルフルと頭を横に振った。

そしてその後は何度も、すみません、と睦言のように繰り返す。




なおさら意味が分からなくなりイルミは首を傾げた。


自分とアゲハの今までの言動をざっと思い出してみて―――――ふと気づく。




「あ」と声を上げて指を立てると、アゲハがびくっと体を揺らした。





「もしかしてアゲハ――――本当に『欲しい』の?」

「…ッッ!!申し訳ございません…、申し訳、ございません……っ」


思いついたことをそのまま尋ねる。するとアゲハは顔を赤く染め、必死になって頭を横に振る。

それを見てイルミは確信した。





潔癖症で他人との必要以上のふれあいを嫌うアゲハは、キスとかセックスとか、そういった性交渉にも当然嫌悪感を抱いている。

たとえ自分の命令でも"しよう?"って時にはいつも嫌そうに顔をしかめているし、そういう類の下世話な話題も嫌いだ。




―――『…欲しいのかい?アゲハ?』



自分の命令には逆らえないのを承知でそんなことを訊くのはサディスティックな欲求以外の何者でもないのだが、今日に限ってはどうやらそうでもなかったらしい。





「(ふーん…?)」



心中で、イルミは笑う。




自分に心酔してるアゲハのことだ。

その理由も大体想像はつくが――――(捨てられるとでも思ったんだろう)




だからといって、"これ以上"はこっちからわざわざ気を利かせてやる必要は無いよね?








気高いアゲハに無理やり言う事を聞かせて組み敷くのもいいものだけど…




「(弱ったアゲハに可愛くおねだりされるなんて、めったに出会える事じゃないしね。)」












「アゲハ、」

「…ひっ、」


声をかけるとアゲハがびくりと身を揺らす。

小刻みに震え、哀れな表情で自分を見上げるアゲハの姿は、いたずらが見つかり親を前に叱られる瞬間を震えながら待つ小さな子供みたいで、イルミはことさらに加虐心をそそられた。





「…アゲハ、いいよ。欲しいのなら言ってごらん?」


言葉を促すように、イルミはアゲハの唇に指を這わす。

触れた唇はわずかながら小刻みに震えていた。



「あ…、い……言えません…」

「なぜ?お前がそんな顔するんだからよっぽどなんだろ?」


「…いっ、言えません!言えません、だって私は…!―――ッひ!?」



不意にぞろりと中心を撫で上げられて、身ぶるいするような快感が全身を襲った。




「〜〜〜〜〜っ」

「ほら。身体は正直だね?アゲハ」




布の下で、すでに硬く反応を始めていたアゲハのそれ。

自身が情けなく思えてアゲハは唇を噛んだ。瞳にはうっすらと涙。



目を背ければ、『逃げるな』とばかりにそれを強く握られた。

襲い来る快楽に思わず身をよじる。




「…ッあ、…っ!…イルミ様…っ」

「さて。このままどうして欲しいかな、アゲハ?言えばちゃんとあげるけど。…どう?聞かせてよ、お前の口から」

「んっ、ぅあっ!?あ、」


布の上から爪を立ててそのままぎちぎちとこすり上げられた。

達しそうになるその寸前まで追い詰められるが――――しかしイルミはそこでパッと手を離してしまう。




眉根を寄せ、荒く息をつくアゲハ。イルミはただじっとアゲハを見ていた。

無情なイルミの瞳。


そんな視線に見つめられ、やがてアゲハは観念したのかそのうちにゆっくりと言葉を紡ぎだした。






「あっ、は…。……イルミ、様……、イルミ様、わ……、わたし…」

「ん?…なに?」




「――――…っ、わたし…っ、私は…っ!あ、貴方の執事で……それも、あんな失態を犯したすぐ後で……!!

こ…こんな事を…貴方様にお願いできるような立場に無い事は十分承知しております……。こんな事…許される身ではありませんが………

でも、でも今日だけはどうか…、聞き届けて…いただきたいのですが……」





「うん。いいよ、何?言ってごらん」



「う…、あ…その……、おっ…お願い、です…!お願いします……!どんな風にしていただいても構いませんから、どうか…!

私の身に残るこの傷の痛みを貴方の『痛み』で消してください…。忘れさせてください………お願い、します……抱いて下さい…イルミ様……」





早鳴る自身の心臓を押さえ、震える口で言葉を搾り出して。アゲハがイルミにすがりつく。

目が合ってしまうと、恥ずかしいのか顔を伏せてしまったが。


それでもイルミはアゲハの言葉に満足したのかわずかに笑って、アゲハを撫でた。





「いい子だね、アゲハ」

「ん…、っはぁ」



銀と赤の瞳からこぼれる涙を舌で拭う。

頬にキスを落とすと、アゲハの体は力が抜けたようにベッドへと沈んだ。



イルミはそのアゲハの下半身からズルズルとズボンを剥ぎ取り、次いで足を広げさせる。


勃ち上がり、ぴくぴくと震えるアゲハの雄。

先走りの蜜で濡れたそれの、その後ろへ、指を2本押し付ける。



「ん…んっ、は…、ぁ、イルミ様…?っあ…」

「このままシテあげてもいいんだけど、やっぱりそれじゃつらいだろ?」



いくら痛いのがいいって言ってもさ、とイルミ。


それを聞いたアゲハは、先程の自身の発言が急に恥ずかしくなり、カァッと顔を赤く染める。




「あっ…、あの、わっ私…っ!」

「何?大丈夫だよアゲハ。お前の口からあんな可愛い台詞聞けたんだから。心配しなくても、胸の痛みとかどうでもよくなるぐらい気持ち良くさせてあげるよ」

「そっ、……っあっん!んんんーっ!」



アゲハの反論を潰すように、イルミは指を奥まで押し込み、ぐり、とナカを引っかいた。

イキかけてビクビクと身を震わせたアゲハ。

硬くそそるそれからもどろりと白濁が溢れだす。


手元に垂れてくるアゲハの精液を潤滑油代わりに奥まで塗りこめ、浅く深く指の抜き差しを繰り返した。





「んふ、あっ…あ、んあっ、は、イルミ、様…っあ、あ…っ!いやだ、もっと、くださ…、もっと…!」

「んー?」


「…あなたがっ、……貴方のそれが欲しいです…っ!」



指くらいでは十分にイケず、アゲハはもっと強い刺激をとイルミの半身を求めた。



それを聞いて、「しょうがないな」と漏らしたイルミは早々に指をアゲハの身体から抜き去った。

そして衣服の前だけをくつろがせて自身を取り出す。





身体を二つ折りにする勢いでアゲハの膝を胸に押し付け、浮き上がった尻に怒張したそれを押し込んだ。




「いっあ、…はあっ!ぁああーっ!!」



少し反動をつけ、一気に根元まで挿入されていくそれ。

太く硬い幹はナカをぎちぎちと押し拡げ、先端は身体の奥の一番イイところへと口付けを施す。


待ち望んだ大きな刺激に、堪らずアゲハは欲を吐き出した。



白い肌を汚す赤い血の痕。

それを、ぼたぼたと垂れるアゲハの白濁が雪のように覆い隠す。




「まだ挿入れただけだよ、アゲハ。そんなに悦かった?」


アゲハの顔にまでかかった精液を舐めとりながら訊く。

だがアゲハはというとイルミを受け止めるだけで精一杯で、それに答えを返せる余裕はなかった。


イルミもそれを悟ったのか、それ以上はいつものような無理やりな返事を強要する事も無く。

口を開けて息を切らすアゲハに柔らかに口付けをして、それを終わらせた。




「っい…!?…っあ、…イッ、イルミ様…っうっく」

「ん…ちょっと無理そうだね」


動こうとするたびきつく締め付けてくるアゲハのナカに、これじゃあダメだな、と零したイルミ。

自身を埋め込んだ体勢のまま、ナカを慣らすように身体を揺さぶる。




先走りの白濁が擦れあう肉の隙間を埋めて、クチュグチュと音を立てるまで。

そんな頃になれば抜き入れも大分スムーズになってくる。それをわずかに確かめてから、イルミは本格的に抜き差しを始めた。



ゆっくりと引き抜いて、再びそれを奥まで押し込む。


最初は緩やかだったそれも次第に熱を帯び。

激しく出し入れするたびぎしぎしとベッドは軋んで、時間が経つごとにいやらしい水音が接合部から聞こえるようになる。



「…あっ、くぅ…イルミ様ッ、…ァア、んッ、っあ、イルミさま…ぁあっ」

「なんだか…そんなに気持ちよさそうなお前を見るの初めてな気がするね、アゲハ?」

「っそんな…っあ、あっ!私は…っ!」


「別に責めてるわけじゃないよ。そういうお前も可愛いなって思っただけ。ん、」

「ぅあっ!!あん、っああーっ!」



内襞を強く擦るようにして責めればアゲハはその身を震わせ、思う様に甘い声を上げる。

ナカはイルミをきつく締め付けてイルミ自身にも大きな快楽をもたらした。


膨れ上がる熱でアゲハの奥を何度も深く抉る。



「ヒァ、アあ…っ!もぉ、私…っ!あッふ、もうっ…!」

「…っふ、凄いねアゲハ。また勃ってる」



後ろを激しく犯すだけで、触れてもいないのにアゲハの中心は再び硬度を増して、勃ち上がっていた。

イルミはタラタラと蜜を垂らすそれを掴み、身体を揺さぶるその動きと共に擦り上げる。


筋に強く爪を立ててなぞるとアゲハのナカがきゅうっと締まった。

そしてアゲハはそのまま絶頂へと達する。



「っぅあ、イルミ様ッ…ぁあああっ!!」

「ん、…あ。オレもイク」


中に出すよ、とより奥へ自身を突き入れ、そこでイルミも熱を撒ける。


全てを吐き出した後はゆるゆると腰をかき回し、搾り取るようにヒクヒクと収縮するナカを長くにわたって存分に味わった。

しかしそれでも、イルミのそれはアゲハのナカで力を失うことなく硬度を保ったまま。

まだまだ事足りなそうにしていた。





「……やっぱり。1回で治まるわけなかったね?」


半分ほどを引き抜き、白濁にまみれたそれを見下ろしながらまるで他人事のようにイルミは呟く。



「…っぁ、っはあ…、あぅ、イルミ…様…?」

「あのお前が、あんなに可愛い事言うからいけないんだよ?今度はオレの番。もうすこし付き合ってよ」


「え…、っあ!…アッ」



グチュ、ともう一度自身をナカへ押し込む。


それを皮切りに、再びイルミが抜き差しを始めるとそのたびぶるりとアゲハの身体が戦慄いた。

甘く啼くアゲハの声と淫靡な水音はその後も止む事はなく、長い時間部屋に響いていた。






















「……イルミ様。我々使用人にまでこのように目をかけていただけるのは大変ありがたいのですが―――今後はくれぐれも程々に。」

「うん。ごめんゴトー」



部屋の入り口に立ち、メガネを上げながらゴトーが呟く。

イルミはゴトーの隣に立って、ベッドの上のアゲハを見ていた。


開いてしまった傷の痛みと原因不明の高熱に目を回し、家の専属医から処置を受けるアゲハを。




「ちょっと無理させすぎたかな」

「ちょっと…ですか?ずいぶん物音が激しかったと聞き及んでおりますが?」

「うん。だってアゲハがあんまりに可愛くてさ。興奮したんだ」

「……そうですか……」


さらりと言われてしまい、ゴトーは困る。

私はそれにどう返答すればいいのでしょうか、と。


かけていたメガネをもう一度クイッと持ち上げた。



「……とにかく、これから一週間ほどは絶・対安静にさせてください」



困り果て、結局さっきの言葉は聞かなかったことにした。




「これ以上無理をさせますとキレイに治るものも治りませんし、まず第一にイルミ様のようなお方がこのような場所へ足を踏み入れてはいけません」

「うん、知ってる。だからごめんってば」

「でしたらよろしいのですが………イルミ様?」



言った矢先からイルミはつかつかと部屋の中へ入ってしまう。








「…アゲハ」


傷を看る年老いた医者の邪魔にならないようそれを避けて枕元に立ち、イルミはアゲハの頬をそっと撫でた。


イルミの冷たい手の感触。それを受けて、アゲハがふと意識を取り戻す。




「…ん………イルミ、様…」


「ん。…傷、ちゃんと治して早く戻ってきなよ、アゲハ。

ゴトーが側についてると煩くて仕方ないんだ。やっぱりオレの執事にはお前が一番良い」




そう言って今度はさらりと頭を撫でる。


オレがお前を捨てることなんてないから、と囁きながら。





するとアゲハは熱で辛そうにしながらも―――「はい」とわずかに笑った。

嬉しそうに、その瞳には涙を浮かべて。





「…必ず戻ります。必ず…。私でよろしければ…ずっとお側にお仕えしてまいります…我が主…」


「うん。いい返事だ」




待ってる、と呟いて、イルミはベッドに沈むアゲハの唇に己のそれを重ねた。









おわり




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