double style番外編 ◆11月11日お菓子の日夢01
※さすがに商標そのままはマズイだろということでツ→シュ、キ→チ、ポ→ト、ラ→ワにしました。多っ(爆)







「キルア遅いねー、ゼロ?」

「そうですね〜。もう戻ってくるとは思うんですけど…」


と、僕は公園の真ん中に建っている時計を見上げた。



僕とゴンとを置いて、キルアが公園を出て行ってからもう30分。

大事なもの買い忘れたーって小走りで出てったけど、いったいどこまで何を買いに行ったんでしょうね?


すぐ戻ってくると思ってたから最初はゴンと立ち話してキルアを待っていたんだけど…。

あんまりにも遅いから近くのベンチが空いたのを契機に、それからは座って話をしていた。


話題はもっぱら、この場にいないキルアの事だったり。



「それにしても買い忘れたって何を忘れたんでしょうね。…またお菓子かなにかかな?」

「あ、それはあり得る」

「あはは。ですよねー。僕、チョコロボ君に1票」

「オレも1票!」

「ゴン、それじゃあ賭けにならないじゃないですか〜」

「あっ、それもそうだね」


あははは、とゴンと一緒になって笑う。


するとその途中、僕の中からジャズが『来たぞ』と僕の意識の端を引っ張ってきた。


引っ張られた方向を見ると、指摘通りにキルアの姿。



「…あ、キルア来ましたね」

「え?あ、ホントだ」



公園の入り口からのんびりとした足取りでこっちへ向かってくるキルア。

…や、せめてもう少し急ぐフリぐらいしましょうよ!


「おまたせー」と僕らのそばまでやってきたキルアはまた悪戯子猫のような表情をするし。



その顔…、何をたくらんで戻ってきたんですか。



「遅いですよ〜、キルア」

「悪い悪い。どれにしようか迷っちゃってさ!」

「どれにしようか…ってどーいうこと?キルア、何を買い忘れたの?」


ゴンが尋ねると、キルアは歯を見せて笑って『じゃーん』とばかりにお菓子の箱をいくつか袋から取り出して見せてくれた。



「プリッシュとポッチーとトットとフワン…。大変だよゼロ!チョコロボ君じゃないよ!?」

「ええ!?」

「驚くとこそこかよ!なんだよ、たまにはいいじゃん。今日ポッチーの日だし!」

「「ポッチーの日?」」

「って、知らねーのかよ。ホンットお前ら天然記念物だよな。ほら、こーやってさ…」


ゴンと僕とがハモリながら訊くと、キルアはお菓子の箱を開けてごそごそと中身を取り出した。

そして棒状のお菓子を両手で合わせて全部で4本、僕らの前に並べて立てて見せる。




「11月11日!ポッチーの日!」


「…あ、なるほど。棒で1を現してるわけですか」

「そっか、だから買って来たお菓子全部、こういう形だったんだ?」

「そゆこと」

「へぇー」



よく考えてるなぁ、と若干関心しつつ、僕はキルアの腕に抱えられていた口の空いた箱に手を伸ばし、お菓子を1本貰った。


…うん、こういうお菓子はあんまり食べない方だけど、たまに食べるとおいしいですね。


口に咥えた棒状のお菓子を、手を使わずに口だけでポリポリと食べ進める。

すると突然、キルアが「ゼロ、そこでストップ!!」と手のひらを僕の方へ向けてビシッとストップをかけてきた。


…え?なに?



「……んぐ、どうしました?キルア?」

「あっ、ちょ、ストップって言ったろゼロ!!」

「えっ?;」


どうかしたのかと思ったから、3分の1ぐらい残ってたお菓子を手でポイッと口に放り込んでもぐもぐ飲み下してから尋ねたら、キルアに怒られた。


え、今なんで怒られたの?僕;

僕の横に座ってたゴンも、訳が分からないといったふうにきょとんとした顔で僕とキルアを交互に見ていた。




「…どしたのキルア?」

「どーしたもこーしたもねーよ!ゴンも見ただろ、今のゼロの暴挙を!!」

「ぼ、暴挙?;僕、何もしてませんけど?」

「ごめん。オレもちょっとキルアの言ってる事よくわかんないや;」

「せめて今のは分かれよ!!ゼロの奴すげぇヒドい事したんだぜ、今!!」


『…おお、たしかに今のはえらい暴挙だったぜ?ゼロ』

『えっ、なんで?どこがですか;』


キルアだけじゃなくて、僕の中で見てたらしいジャズにまで怒られた。


っていうか何がどう暴挙なんですか。そりゃ、キルアのお菓子勝手に食べたのはちょっと悪かったかなって思いますけど…。



「ほら、もう1本やるから!」

「ええー?もういいですよ;」



僕の前に、口の空いたお菓子の箱を押し付けるように差し出してきたキルア。


そもそもそれキルアのお菓子だし、僕が勝手に食べたの怒ってるんですよね?現に怒られたし…。

こーやってまた僕に食べさせて、食べたら食べたでキルアはまた怒るんでしょう?

「押すなよ!」的なそういう"振り"にしか見えませんよ。

それならもういらないです;



「ゼロって!だからもう1回やってよ!何がどう暴挙だったかオレが教えてやるからさ!」

「嫌です!;」



僕の鼻先に、なおもキルアはグイグイとしつこくお菓子の箱を押し付けてくる。

いらないって言ってるのにそんな感じだから、最終的に僕はベンチから立ち上がって逃げることにした。


きょとんとした顔で汗を垂らすゴンの前をぐるぐると、お菓子をその手に持ったキルアにしばらく追いかけまわされました。


…だからなんで;





『…ま。やったらやったで、やる前にオレが止めたけどな』

『だから何をなんですか!もー!』







おわる


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ガードゆるいんだか堅いんだかわからないなお兄ちゃんは…

すもも

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ももももも。