「地上251階、高さ991メートル。世界第4位の高さを誇る建物。それが天空闘技場です」
飛行船の中でキルアとゼロにいろいろ教えてもらった。
「へー。ゼロってハンター試験の前は天空闘技場にいたの?」
飛行船の中、オレとキルアはゼロを真ん中に挟んで椅子に座っていた。
「どうりで強いわけだ」
「ふふ、そういうことにしときましょうか」
キルアとゼロが2人でそう話してる。会話の内容から、どうやら天空闘技場ってとこがすごいとこらしいのがわかった。
う〜〜〜、でもオレも会話に入りたいよ〜。
「キルアも行った事があるんですか?」
「まぁね。6歳の頃かな。無一文で親父に放り込まれた。『200階まで行って帰ってこい』ってね。そのときは2年かかった」
「6歳で200階までって……; やり遂げちゃうキルアもすごいですけど」
あ〜!も〜〜オレも入れて〜〜!!
「そろそろ到着だな。ゴン、船を下りたらなにもかもイチから出発だぜ?もう金もないし」
「うん!」
「そうですね!…わからないことがあったら僕に聞いてください。中のことは大体把握していますから」
「うん、よろしく!ゼロ!」
ゼロって優しいな。お兄ちゃんが出来たみたいだ!
「じゃ、行こう!!」
「うん!!」
そしてオレ達は天空闘技場へ出発した!
一体どんなところなんだろう?ドキドキする!
「すっごい行列だね〜」
天空闘技場の入り口まで、大勢の人たちが並んでいた。…って、これ、みんな参加者!?
「ハンター試験と違って小難しい条件は一切なし!相手をぶっ倒せばいいだけだから」
「上に行くほどファイトマネーが高くなるんですよ」
「野蛮人どもの聖地さ」
「…野蛮人って…;」
待ってる間、キルアとゼロが簡単にルールとかを説明してくれた。
「えーと…、ようは相手を倒せばお金がもらえるんだね?」
「「そう!」」
受付を済ませて中に入る。
リングがいくつも設けてあるコロシアム。観客席の観客というか…選手?がものすごい殺気立ってる。
「うわぁ〜〜」
「ビックリしましたか?ゴン?」
「うん。すっごいね!」
「ヒソカクラスの奴と戦うなら200階以上に行かなきゃダメだな。急ぐぜ」
「うん」
キルアの言葉にオレは気合を入れた。けど、それを聞いたゼロがなんだか顔をこわばらせたのは、気のせいかな?
『2013番・2053番の方、Cのリングへどうぞ』
「あ、僕だ」
ゼロが呼ばれた。ゼロが戦うんだ〜。しっかり見とこ。
「がんばってゼロ!!」
「はい!ありがとうゴン」
「あぁ〜?あんな優男が出てるのか〜?ラッキーだな、相手の奴」
後ろで観客(選手?)が会話してるのが聞こえた。
ムッ。むかつくな〜。ゼロはすごく強いんだぞ!!
…とか思ってたらキルアが後ろの連中に向かって言った。
「外見で判断すると痛い目見るぜ、オッサン」
あははっ。キルアもむかついたんだね。
「なんだこのガキィ!!」
「お、始まるぞゴン」
ぅわ、キルア、無視だし。
…ま、いっか。ゼロをバカにしたやつらだし。
ゼロの相手は屈強そうな男。そいつもゼロを見てニヤニヤしてる。ムカムカ〜ッ。
「きっと楽勝だとか思ってんだぜ、相手の奴。…顔がむかつくな」
「うん!!
ゼロ〜〜!!!やっちゃえ〜!!」
オレの応援が届いたのか、ゼロは笑って手を振ってくれた。
……あ、相手、キレた。
開始の合図。
相手が動くよりも速く、ゼロが動いた。
右のハイキック。
足刀がモロに相手の首に入って相手が吹っ飛んだ。
うわっ!!痛っ!!!
あんなの首に入ったら窒息するって!!
観客もどよめく。
場外まで吹っ飛んだ相手は案の定、口から血を吐いて失神していた。
「ありがとうございました。出直してください」
ぺこっと礼をするゼロ。かっこい〜!
『1973番・2055番の方、Eのリングへどうぞ』
「あ、ゴンくんだ」
失神してしまったかわいそうな相手に礼をしたところで、ゴンの番号が呼ばれた。
早く戻って応援してあげよう。
1階は選手のレベル判定。ここで、これ以降の開始階数が決まる。
僕は判定をもらうために審判のところに行った。
「キミは…180階にいた選手だね?200階にも一度登っているね。はい、150階までどうぞ。頑張ってください」
「はい、ありがとうございます」
そう言ってチケットを貰うと、会場内がどよめくのが聞こえた。
見るとゴンが巨漢を場外まで吹っ飛ばしていた。
さすが、ゴン。
まぁ基本的にここは子供の来るところじゃないですしね。しかもあれだけふっ飛ばせばどよめくのは当たり前ですか。
くす。なんかちょっと優越感ですね〜。
「おかえりゼロ」
「はい、ただいまキルア」
『2054番・2039番の方、Aのリングへどうぞ』
キルアに挨拶した瞬間アナウンスが鳴った。
「あ、オレだし」
「がんばってくださいキルア」
「ははっ。心配いらねーよ」
リングに向かいながら拳をあげるキルア。
…ふふっ、相手の心配したほうがよさそうですね。
「ただいまー、ゼロ」
「お帰り、ゴン」
キルアがリングにあがったとき、ちょうどゴンも帰ってきた。
「ゼロ、何階?」
「150階です」
「へー!すごいね〜」
「前までの戦績がありますからね。ゴンは?」
「オレは50階」
「わぁ、初めて来た子供が50階ですか〜。さすがはゴン」
「へへへ〜」
にかっと笑ったゴン。それを見たら僕も嬉しくなった。
「たっだいま〜」
「お帰りなさいキルア」
「お帰り〜キルア!」
相手を手刀一発でリングに沈めたキルア。やっぱり心配は無用でしたか。
「キルアは何階?」
「180階とか言われたけど、50階にしてもらった。ゴンもそのくらいだろ?」
「えっ!!?そんなことしていいんですか!?…じゃあ僕もそのくらいにしてもらえばよかったなぁ」
「あははっ。じゃあゴン、一緒にいこーぜ。ゼロは上で待ってろよ。2、3日で行くから」
「う〜ん、それじゃ僕だけのけ者みたいですよ〜;…でも仕方ありませんね、そうします」
「「あはははは」」
笑っていたら場内の驚く声がまた響いた。
今日の観客は驚き疲れそうですね。
「こっちにもすごい子供がいたぞー!!」
くりくりした、ゴンたちと同じ年くらいの子供が相手を倒していた。
つづく
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ゴン視点がなにげに書きやすくて好きです。
すもも