double style ◆23:天空闘技場へ




「地上251階、高さ991メートル。世界第4位の高さを誇る建物。それが天空闘技場です」


飛行船の中でキルアとゼロにいろいろ教えてもらった。




「へー。ゼロってハンター試験の前は天空闘技場にいたの?」

飛行船の中、オレとキルアはゼロを真ん中に挟んで椅子に座っていた。


「どうりで強いわけだ」

「ふふ、そういうことにしときましょうか」


キルアとゼロが2人でそう話してる。会話の内容から、どうやら天空闘技場ってとこがすごいとこらしいのがわかった。

う〜〜〜、でもオレも会話に入りたいよ〜。



「キルアも行った事があるんですか?」

「まぁね。6歳の頃かな。無一文で親父に放り込まれた。『200階まで行って帰ってこい』ってね。そのときは2年かかった」

「6歳で200階までって……; やり遂げちゃうキルアもすごいですけど」


あ〜!も〜〜オレも入れて〜〜!!




「そろそろ到着だな。ゴン、船を下りたらなにもかもイチから出発だぜ?もう金もないし」

「うん!」

「そうですね!…わからないことがあったら僕に聞いてください。中のことは大体把握していますから」

「うん、よろしく!ゼロ!」

ゼロって優しいな。お兄ちゃんが出来たみたいだ!


「じゃ、行こう!!」

「うん!!」

そしてオレ達は天空闘技場へ出発した!



一体どんなところなんだろう?ドキドキする!









「すっごい行列だね〜」

天空闘技場の入り口まで、大勢の人たちが並んでいた。…って、これ、みんな参加者!?


「ハンター試験と違って小難しい条件は一切なし!相手をぶっ倒せばいいだけだから」

「上に行くほどファイトマネーが高くなるんですよ」

「野蛮人どもの聖地さ」

「…野蛮人って…;」

待ってる間、キルアとゼロが簡単にルールとかを説明してくれた。


「えーと…、ようは相手を倒せばお金がもらえるんだね?」

「「そう!」」




受付を済ませて中に入る。

リングがいくつも設けてあるコロシアム。観客席の観客というか…選手?がものすごい殺気立ってる。

「うわぁ〜〜」

「ビックリしましたか?ゴン?」

「うん。すっごいね!」


「ヒソカクラスの奴と戦うなら200階以上に行かなきゃダメだな。急ぐぜ」

「うん」

キルアの言葉にオレは気合を入れた。けど、それを聞いたゼロがなんだか顔をこわばらせたのは、気のせいかな?








『2013番・2053番の方、Cのリングへどうぞ』

「あ、僕だ」

ゼロが呼ばれた。ゼロが戦うんだ〜。しっかり見とこ。

「がんばってゼロ!!」

「はい!ありがとうゴン」




「あぁ〜?あんな優男が出てるのか〜?ラッキーだな、相手の奴」

後ろで観客(選手?)が会話してるのが聞こえた。

ムッ。むかつくな〜。ゼロはすごく強いんだぞ!!


…とか思ってたらキルアが後ろの連中に向かって言った。

「外見で判断すると痛い目見るぜ、オッサン」

あははっ。キルアもむかついたんだね。

「なんだこのガキィ!!」

「お、始まるぞゴン」

ぅわ、キルア、無視だし。

…ま、いっか。ゼロをバカにしたやつらだし。



ゼロの相手は屈強そうな男。そいつもゼロを見てニヤニヤしてる。ムカムカ〜ッ。

「きっと楽勝だとか思ってんだぜ、相手の奴。…顔がむかつくな」

「うん!!ゼロ〜〜!!!やっちゃえ〜!!

オレの応援が届いたのか、ゼロは笑って手を振ってくれた。


……あ、相手、キレた。




開始の合図。

相手が動くよりも速く、ゼロが動いた。


右のハイキック。

足刀がモロに相手の首に入って相手が吹っ飛んだ。

うわっ!!痛っ!!!

あんなの首に入ったら窒息するって!!



観客もどよめく。

場外まで吹っ飛んだ相手は案の定、口から血を吐いて失神していた。


「ありがとうございました。出直してください」

ぺこっと礼をするゼロ。かっこい〜!









『1973番・2055番の方、Eのリングへどうぞ』

「あ、ゴンくんだ」

失神してしまったかわいそうな相手に礼をしたところで、ゴンの番号が呼ばれた。

早く戻って応援してあげよう。



1階は選手のレベル判定。ここで、これ以降の開始階数が決まる。

僕は判定をもらうために審判のところに行った。



「キミは…180階にいた選手だね?200階にも一度登っているね。はい、150階までどうぞ。頑張ってください」

「はい、ありがとうございます」

そう言ってチケットを貰うと、会場内がどよめくのが聞こえた。

見るとゴンが巨漢を場外まで吹っ飛ばしていた。


さすが、ゴン。


まぁ基本的にここは子供の来るところじゃないですしね。しかもあれだけふっ飛ばせばどよめくのは当たり前ですか。

くす。なんかちょっと優越感ですね〜。





「おかえりゼロ」

「はい、ただいまキルア」

『2054番・2039番の方、Aのリングへどうぞ』

キルアに挨拶した瞬間アナウンスが鳴った。

「あ、オレだし」

「がんばってくださいキルア」

「ははっ。心配いらねーよ」

リングに向かいながら拳をあげるキルア。

…ふふっ、相手の心配したほうがよさそうですね。







「ただいまー、ゼロ」

「お帰り、ゴン」

キルアがリングにあがったとき、ちょうどゴンも帰ってきた。

「ゼロ、何階?」

「150階です」

「へー!すごいね〜」

「前までの戦績がありますからね。ゴンは?」

「オレは50階」

「わぁ、初めて来た子供が50階ですか〜。さすがはゴン」

「へへへ〜」

にかっと笑ったゴン。それを見たら僕も嬉しくなった。







「たっだいま〜」

「お帰りなさいキルア」

「お帰り〜キルア!」

相手を手刀一発でリングに沈めたキルア。やっぱり心配は無用でしたか。


「キルアは何階?」

「180階とか言われたけど、50階にしてもらった。ゴンもそのくらいだろ?」

「えっ!!?そんなことしていいんですか!?…じゃあ僕もそのくらいにしてもらえばよかったなぁ」

「あははっ。じゃあゴン、一緒にいこーぜ。ゼロは上で待ってろよ。2、3日で行くから」

「う〜ん、それじゃ僕だけのけ者みたいですよ〜;…でも仕方ありませんね、そうします」

「「あはははは」」


笑っていたら場内の驚く声がまた響いた。

今日の観客は驚き疲れそうですね。



「こっちにもすごい子供がいたぞー!!」


くりくりした、ゴンたちと同じ年くらいの子供が相手を倒していた。







つづく


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ゴン視点がなにげに書きやすくて好きです。

すもも

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ももももも。