double style ◆24:心源流拳法



「こちらへどうぞ」



エレベーターまで案内され、中に乗り込む。

僕たち3人の他にも何人か乗り込んだけど、そこにはさっき見た小さな少年の姿もあった。



「100階をクリアすると個室を用意してもらえるんだ」

「へぇー。じゃゼロはもう個室なんだ。遊びに行ってもいい?」

「えぇ、いいですよ。いつでもどうぞ〜」

「「やった!」」

エレベーターの中でも喋り続けるゴンとキルア。にこにことその様子を見ていたら、少年がこちらを見ているのに気づいた。


(ごめんね、うるさくて)


そう片手を上げて謝るポーズをすると少年はくりっとした目を見開いた。

驚かせちゃったかな?


するとゴンとキルアも、その少年に気づいた。

やっぱり気になるよね、子供が居ると。




エレベーターを降りた。どちらともなく、声を掛け合う。

「押忍!」

少年が十字を切って一礼する。拳法家かな?

僕らも挨拶した。

「自分、ズシといいます!御三方は?」

「オレ、キルア」

「オレはゴン!よろしく」

「僕はゼロです。よろしく」




「ゼロ、150階に行かなくていいの?」

ゴンがそう聞いてきた。

「まだ大丈夫ですよ。開始時間は大体予想つきますし…それに君達を案内してあげないとね」

僕らは長い廊下を歩き始めた。



「さっきの皆さんの試合、拝見しました。いやーすごいっすね!」

歩いているとズシが話しかけてきた。

「何言ってんだよ。お前だって一気にこの階まで来たんだろ?」

「そうそう、一緒じゃん」

「いやいや、自分なんかまだまだっす」

ぴしゃりとズシが言う。


きっちりとしたいい師匠を持ってそうだね。

僕の師匠(ジャズ)なんかズボラでわがままなうえにめんどくさがりで…僕はとても大変な思いをしましたよ。


思い出したら笑いがこみ上げた。

「くすっ」

「な、なんすか?ゼロさん」

「いやいや、ズシはしっかりしてるなと思って」





「ところで御三方の流派は何すか?自分は心源流拳法っす!!」

キルアとゴンは止まった。


「「別に……ないよな」」


「ええ!?誰の指導も無くあの強さなんすか…ちょっぴり自分、ショックっす」

影を背負って十字を切るズシ。

「あはは。僕もそれ、同感だな」

「えー?ゼロは何なの?」

「僕も一応心源流拳法ですよ。かなり我流入ってますけどね」



…師匠がジャズですから。



「「ふーん」」

「じゃあゼロさんは自分の先輩に当たるんっすね?さすがは先輩っす!強かったっす」

「なんか恥ずかしいなぁ」




話していると、拍手をしながら近寄ってくる人影があった。

「ズシ!よくやった」

「師範代!」

師範代と呼ばれた人物は、寝癖を立てて眼鏡をかけた優しそうな人物だった。


「師範代、またシャツが」

「あッ、ゴメンゴメン」

そういってその人ははみ出ていたシャツの裾をズボンに押し込んだ。この人もちょっとズボラそうですね。



「そちらは?」

「あ、キルアさんとゴンさんとゼロさんす」

「はじめまして、ウイングです」

「「オス!」」

ズシがうつったのか、ウイングさんに向かって十字を切ったゴンとキルア。

子供って面白いなぁ。


「はじめまして、ゼロです」

僕もお辞儀をした。










「いらっしゃいませ!キルア様、ゴン様、ズシ様ですね。チケットをお願いします」

50階の受付でファイトマネーを換金してもらう3人。僕は150階でしなきゃならないから、後ろでウイングさんと待っていた。

するとウイングさんに静かに声をかけられる。


「…貴方も念使い……ですね?」

「はい。…わかりますか?」

「えぇ。先ほどの試合で。…美しいほどの攻防力移動でしたね」

「あぁ、そっか…なるべく使わないようにはしているんですけどね。無意識に出ちゃうみたいです」

そのせいで気がつくと相手を半殺しにしていることが…; さっきのもそうだし…。

「それだけ身についている証拠ですよ。貴方ならばしっかりと加減も出来るでしょう?」

「うーん、そうですね…、今のところは。……………たぶん。」

「ははは。くれぐれも相手と自分、相互を気遣うようにしてくださいね」

「はい」




「…ところで貴方が彼らの指導を?」

ウイングさんは仲よさそうにズシと話すゴンとキルアを指していった。


「いいえ、僕は師範号持っていませんから。彼らは我流で…あの強さですよ」

「恐ろしい子達ですね」

「僕もつくづくそう思います。…ここで、きっと念についても学ぶことになるでしょう」

そう言って僕はウイングさんの目を見た。



「…私に?」

「お願いしたいです」


僕が言うと、ウイングさんは少し考える振りをする。



「…もう少し考えさせてください。私がこの目で、彼らに資格があるかどうか…見てからということではいけませんか?」




「……よろしくお願いいたします」


僕はウイングさんに頭を下げた。




「なにしてんの?ゼロ?」

それを見たゴンたちが僕らのほうにやってきた。

「君達の事をウイングさんに頼んだんだよ。僕はもう150階に行かなきゃならないですから」

「150階すか!?」

「ねーねー、そういやゼロって前はずっとここに居たんでしょ!?そのときお金ってどのくらい貰ったの!?」

「う〜ん…、銀行に預けてありますけど…いくらぐらいなんでしょうね〜?」

僕も怖くて見てないからわかりませんけど…。ジャズの報酬と一緒に預けてありますし…どれだけが自分の分かはわかりませんね〜。








「それじゃ、3人ともがんばってくださいね。僕ももう行きます」


控え室の入り口まで案内してあげた。その入り口で3人に挨拶を交わす。

「うん!ゼロもがんばってね!」

「すぐ行くからなー」

「はい、モニターで見てますから。またあとで会いましょう!」


それから僕は150階へと足を早めた。








つづく


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ももももも。